55.邪竜、惑星の1/3を消滅させる
お世話になってます!
息子がシーラとデートをしている。
妨害に入ろうとしたカルマを止めるのが、孫のルコだ。
地上から遠く離れた、空の上。
強力な力を秘めた、見上げるほどの黒い邪竜。
それに負けず劣らずの闘気を放出する、下半身がドラゴン、上半身が鎧に包まれた暗黒騎士。
【お退きなさい、るこぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!】
ギュンッ……!
と邪竜が暗黒騎士に近づく。
ブンッ……!
とウルトラ手加減した、しっぽによるブローを土手っ腹に食らわせる。
さすがに孫にケガを負わせていけない。
という理性は働いているらしい。
それでも……。
【きかないっ】
ルコは両手で、邪竜のしっぽを受け止める。
ばぁしぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!
凄まじい衝撃に、孫の体が後に吹き飛ぶ。
ヒュンッ……!
どぉごおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!
吹っ飛んだ先には、天竜山脈があった。
この国の南側にある、大きな山に、巨体の暗黒騎士がうずまる。
山が震え、木々が振動し、森の動物や魔物たちが、一斉に逃げ出す。
【ルコッ! おとなしくお眠りなさぁいいいいいいいいいいいい!!】
カルマはすぅううう…………と息を吸い込む。
普段のブレスの、1万分の1の強さで、竜の息吹をはき出す。
びごおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!
凄まじい破壊の光線(超手加減)が、ルコ目がけて飛んでくる。
【あまいっ】
ルコは素早く、その場から飛び退く。
ちゅどごぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!!
天竜山脈が、木っ端みじんに吹き飛んだ。
ばらばらばら……と土の雨が、地面に降り注ぐ。
カルマは素早く、万物創造スキルを使って、消し飛んだ山を治す。
【ルコッ! やりますねっ!】
【よけい。かいわ。よゆう。ある?】
ギュンッ……!
と孫が邪竜の背後に回る。
圧倒的な速さだった。
神を超える身体能力を持つカルマでさえ、目で追うことができなかった。
【しまっ……!】
【てりゃー】
気の抜けた声とは裏腹に、凄まじい勢いのパンチが、邪竜の脇腹に刺さる。
ばがぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああんん!!!!!!
音速を超える拳が、カルマに飛来。
避ける余裕もなく、カルマは横に吹き飛んでいく。
ひゅぅうううううううう……………………!!!!
飛んでいった先は、山を越えて、海。
カルマは水面にたたきつけられる。
ざぁああああああばっぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああんん!!!!!!!
巨体が凄まじい勢いで降ったのだ。
海からはまるで巨人が飛び込んだような、大きな水柱が上がる。
それによって大きな津波が発生。
恐ろしく大きな波が、砂浜へと押し寄せる。
「きゃぁああ!」「津波よぉおおお!」「おたすけぇええええ!」
海沿いの町の住民たちが、逃げ惑う。
【やった。か?】
【やりますね、るこぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!】
そのときだ。
海がぶくぶくぶく……と泡立つと、
じゅぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお……………………!!!
と、一瞬にして、干上がったではないか。
地平線の向こうまで、海が広がっていたはず。
だのに、周辺の水分は、一瞬にして蒸発。
津波の被害はなくなったが、今度は海面が消えるという異常事態。
【かるま。なに?】
【お母さんの怒りの炎です!】
よく見るとカルマの口の端から、漆黒の炎が漏れている。
竜の炎が、海を焼いたのだ。
【すさまじい。きかくがい】
【ルコ。やりますねっ! お母さんをここまで追い詰めるなんて!】
カルマはその場からジャンプ。
そのまま頭から、孫の体に向けて(超超手加減した)タックルを食らわした。
神速の一撃。
上空にいたルコは、逃げる暇を与えられなかった。
ばっっごぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!
カルマがルコの体にぶつかり、そのまま
大空へと吹き飛んでいく。
ぐんぐんと空を抜けていき、そのまま大気圏に突入。
バトルは星を離れて、宇宙での魔法の打ち合いになった。
ビゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ大大オオオ!!!!!!!
ちゅどぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!
バシュバシュバシュバシュっ!
ピュンピュンピュンピュウッ!!!
カルマの口や、ルコの手から、魔法の炎、氷の矢、光の槍など、多種多様の魔法が連発される。
それは外れると、あたりにあった星々を消し炭に、あるいは破壊していく。
リュージたちの住む惑星には被害がないものの、宇宙空間に浮かぶ星々は、確実にこの二体の化け物によって破壊されていった。
やがて長い時間、魔法による打ち合いが行われた。
【やりますね、ルコ……】
【かるま。ばけもの】
【あなたも十分にですよ。ふ、強くなりましたね】
まだまだ自分には余力がある。
一方で孫の方は、すでに魔力が切れかかっていた。
疲労が顔に、濃く出ていた。
【おとなしく負けを認めてはどうでしょう。そうすれば】
【いのち。まで。とらぬ?】
【いやそこまでするわけないじゃないですか。愛しい家族を殺すわけ無いでしょう?】
とは言っても、相手がルシファーでなければ、先ほどの戦闘で、簡単に人は死んでいただろう。
【るぅ。まけない。ぱぱ。まも……あぅ……】
がくっ……とルコの体から力が抜ける。
変身が解けて、もとの幼女の姿に戻った。
カルマはすぅ……っと近づいて、彼女を背中に乗せる。
【限界でしょう? もうおやすみなさい】
【うう……だめ……。やだ……るぅ。まもる……】
ぐぐ……っと孫が起き上がろうとする。
カルマは孫のけなげさに泣きそうになる。
と、同時になんでそこまで、と首をかしげる。
【そこまでして、りゅー君とシーラのデートを守りたいのですか?】
カルマの質問に、ルコが答える。
【うん。だって】
そして……言う。
【ぱぱ。しーら。きねんび。おとまり。デート】
【…………………………………………。ぱー、どぅん?】
思わず、異国の言葉出てしまうカルマ。
【ぱー、ど?】
【もう一度……ルコ。今あなた……なんて……?】
聞き間違いだそうだ聞き間違いに決まっているありえないさっきのは幻聴だ夢だそうだこれは夢なのだ【おとまり。でーと】
【夢じゃ……】
ぶるぶる……とカルマの体が震える。
体から、凄まじい量の魔力が吹き上げる。
それが体の中で燃え上がる。
スキル、【万物破壊】が、無条件で発動。
全てを壊す、破壊の黒い雷が、カルマの体の中で荒れ狂う炎と混じり合う。
【これは夢じゃぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!】
びいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいごぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
凄まじい破壊の雷撃光線が、カルマの口から発射される。
リュージたちの住む惑星……ではない。
その隣の惑星めがけて、飛んでいく。光線が惑星をかする。
じゅぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!
惑星はその大地の三分の一を、いっきに蒸発させた。
光線の通った部分には、何も残されてない。
球体の惑星は、その大地の1/3を消滅させ、三日月型になってしまった。
【お泊まりなんて、ゆるしませんよおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!】
次回もよろしくお願いいたします!