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冒険に、ついてこないでお母さん! 〜 超過保護な最強ドラゴンに育てられた息子、母親同伴で冒険者になる  作者: 茨木野
11章「最終決戦編」

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180.息子、肩を並べて邪神と戦う【中編】


「やったかの!?」


「ダメだ、浅い」


 ベリアルの裂けた皮膚が、瞬時に回復する。


「失望したぞリュージ。勇者ユートは、この程度ではなかった」


 ベリアルが視界から消える。


 早すぎて目で追えない。


 未来視でかろうじて、敵の攻撃してくる場所が見えた。


 必死になってリュージは回避するが、ベリアルの拳が早すぎて避けきれない。


「ガッ……!」


 リュージは腹にベリアルのこぶしをウケ、吹き飛ぶ。


「りゅーくん!」


 カルマは嵐を呼び出し、息子を柔らかく受け止める。


「ありがとう、母さん」


「敵は強いわ、油断せずにいきましょう」


 ベリアルは高いところから、リュージ達を見下ろす。


「ヤツの攻撃が早い」


「なら、私に乗ってりゅーくん」


 カルマは人間の姿から、ドラゴンの体へと変化する。


「ほぅ。マキナアビスの力を感じる」


【母から受け継いだ力よ!】


 以前の邪悪なる色をしたカルマと違い、今の母は黄金の竜となっていた。


 それはリュージの聖剣と同じ、闇を払う日光と同じ色。


【私はマキナの嵐と雷を受け継いだ。これならやつの速度についていける】


「そうか! よぅし、母さん、いこう!」


 リュージはカルマの頭の上に乗る。


 カルマは魔力を解放し、凄まじい速さでベリアルに肉薄する。


「なるほど、多少やるようだ」


 ベリアルのこぶしと、リュージの聖剣がぶつかり合う。


 ガギィイイイイイイイイイイイン!


 押し負けそうになるも、母の力とが合わさり、ベリアルのこぶしを弾く。


「セヤァアアアアアアアアア!」


 がら空きの胴体にリュージは剣を振る。


 ザシュッ……!


 深い一撃が入る。

 だがベリアルは右の拳を構えていた。


 バリッ……! とベリアルのこぶしに黒い雷が纏う。


「母さん!」


 ベリアルの狙いは母だった。


 母の顔面に、ベリアルのこぶしがつき差刺さろうとする。


 リュージは聖剣の腹でそれを受ける。


 ガギィイイイイイイイイイイイン!


「ぐあっ!」


【りゅーくん!?】


 ベリアルのこぶしを受けきれず、リュージは背後へと吹き飛ぶ。


 ルコが念動力で勢いを殺そうとするが、その前にリュージは壁に激突。


 ドガァアアアアアアアアアアアアアン!


「なんという……速さ。わしらでは……到底ついていけぬ」


 呆然とするバブコ。

 一方でルコは、リュージの元へ駆けつける。


「ぱぱっ! だいじょうぶ!?」


「う……うう……」


 リュージはふらつきながらも、なんとか立ち上がる。


 一方でカルマは必死になって、ベリアルとの機動戦に食らいついていた。


 確かに速さは邪神と同等ではある物の、勇者の力が無ければ、致命傷を与えられない。


「すまぬ、リュージ。われらが非力なばかりに……」


「ううん、そんなことないよ。みんながいるおかげで、僕は立っていられるんだ」


 リュージは聖剣を強く握りしめる。


「僕は……偽物だった。けど、歩んできた軌跡は本物。ルコやバブコは、そんな僕の歩んできた道をともにしてきた仲間。つまり……僕の生きてきた証明!」


 コォオオオオオオオオオオオ!


「な、なんじゃ!? リュージの体が、黄金に輝いている!」


 驚くバブコをよそに、リュージの魔力はどんどんと高まっていく。


 聖剣の輝きはやがて、リュージの体を、そして彼の漆黒の髪を黄金に変えた。


「るぅたち。ちから。ぱぱ。ながれこんでいく」


「よそからチェキータやシーラの魔力も流れ込んでくる……これは……?」


 彼に関わったもののすべての魔力が、リュージへと流れているのだ。

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