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冒険に、ついてこないでお母さん! 〜 超過保護な最強ドラゴンに育てられた息子、母親同伴で冒険者になる  作者: 茨木野
11章「最終決戦編」

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180.息子、肩を並べて邪神と戦う【前編】




 チェキータたちがメデューサに勝利した、一方その頃。


 リュージは、邪神王ベリアルとの最期の戦いに挑んでいた。


 ベリアル。

 彼は今、勇者ユートの肉体に寄生している。


 その顔は、クローンであるリュージに酷似している。


 数年後、彼も同じ顔になるのだろう。


 だがベリアルの髪は長く、そして白髪だ。

「では参るぞ偽勇者」


 ベリアルは両手を広げる。


 左手に、純白の光がともる。


「みんな、跳んで!」


 リュージの言葉に、母達は後方へと大きく跳躍。


 ズォッ……!


 足元からは先の尖った岩が、突如として生えてきたのだ。


 リュージの号令がなければ全員串刺しになっていたところだ。


「今度は上から来るよ! 気をつけて!」


 見上げると頭上からは、無数の剣が降り注ぐ。


 ズドドドドドドドッ……!


 剣の雨は地上にいるすべてを串刺しにしようとする。


 カルマ達に当たる前に、リュージが立ち塞がる。


「セヤァアアアアアアアアア!」


 リュージは手に持った光の剣を、思い切り縦に振る。


 ズバンッ……!


 日輪の輝きは斬撃となり、降り注ぐ剣の雨をなぎ払った。


 剣はリュージ達を避けるように、地面に突き刺さる。


「ほぅ。貴様、見えてるな。少し先の未来が」


 リュージはまっすぐにベリアルを見やる。

 聖剣の持つ本来の機能の一つだ。


【未来視】。やつが言ったとおり、少し先の未来が見えるスキルである。


「かつての勇者ユートも使っていたな。なるほど、100%力を引き継いだわけだ。やるではないか」


 ベリアルが左手を向ける。 


 今度は無数の吸血コウモリたちが、リュージ達に襲いかかってきた。


「母さん!」


「任せなさい! バブコ! いきますよ!」


 カルマは右手に嵐を宿し、前方めがけて魔法を発動。


 ビョォオオオオオオオオオオオ!!!


 そこにバブコの爆炎虫が混じり合い、コウモリ達へと殺到。


 ドガァアアアアアアアアアアアン!


 爆発による煙にまぎれ、リュージがベリアルの懐に潜り込む。


空歩くうほ。空気を蹴り移動するスキルか。……それも、見たぞ」


「やぁっ!」


 リュージが鋭い一撃を、ベリアルの首めがけて振るわれる。


 ベリアルは半身を倒して回避。それと同時に回し蹴りをリュージに喰らわそうとする。


「させない!」


 バブコの念道力が発動。


 ベリアルの蹴りが見えない力で止められる。


「せやぁああああああああ!」


 動きが止まった隙を見て、リュージが上段斬りをくわえる。


 ザシュッ……!


 ベリアルの胴体に一撃を入れる。


 邪神王が完全復活して初めて、ヤツにダメージが入ったのだった。

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