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冒険に、ついてこないでお母さん! 〜 超過保護な最強ドラゴンに育てられた息子、母親同伴で冒険者になる  作者: 茨木野
11章「最終決戦編」

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179.エルフ、因縁にケリをつける【後編】



 バッ……! とメデューサは背後を振り返る。


 そこにいたのは、莫大な魔力を杖の先に宿した、ウサギ耳の少女だった。


「ば、バカな!? こんな大魔術の気配に……わたくしが気づかないなんて!」


「……どう? アタシの【隠蔽】スキル。これも、母親あなたアタシに授けた力よ?」


 ルトラの言葉に、メデューサは冷や汗をかく。


「しーちゃんは、完全に意識の外だったでしょう? あなたはいつもそう。自分より下だと思った相手をすぐに切り捨てる。その子が強く成長する可能性なんて、まったく考えずに」


 チェキータの言葉は真実だった。


 その際足る物が、今、牙をむいている。


「これは退魔の魔力!? こんなモブうさぎごときが使えて良い魔法じゃない!」


 ずぉっ! とメデューサは蛇を伸ばそうとする。


 がくんっ……!


 だが体に力が全く入らなかった。


「これは毒!?」


「……ええ、そうよお母さん? あなたから学んだ毒を、有効活用させてもらっているわ」


「ち、く、しょぉおおおおおおお!」


 麻痺毒を受けて、メデューサはその場から動けなくなる。


「こんな……こんな出来損ないの雑魚どもに! わたくしが負けるなんてぇええ!」


 そうこうしてると、シーラが魔法を完成させる。


 杖の先をメデューサに向ける。


「【神聖十字槍グランド・クロス】!」


 それは魔を退ける属性を帯びた、光の魔法。


 頭上から降り注ぐのは、極光を固めたような美しく、巨大な十字の槍。


 それは凄まじい早さでメデューサの体を貫く。


「ギャァアアアアアアアアアアアアア!」


 強力な聖なる力が、メデューサという邪悪を焼き続ける。


 再生能力が封じられている以上、今のメデューサにこの状況を打破する手段はない。

「ルトラぁあああああ! 母を助けろぉおおおおおお! おまえを作ってやったのが誰だと思ってるぅうううううう!」


「……そうね、確かにアタシを作ったのはあなたかもしれない」


「なら!」


「けど!」


 ルトラはまっすぐにメデューサを見て、決然と言い放つ。


「【今】のアタシを作ってくれたのは! リュージと! その友達みんなよ!」


 ルトラは矢をつがえて、それを構える。


「あなたはアタシを産んだだけだ。育ててくれたのは、貴女に捨てられた後に出会った人たちよ!」


 ひゅっ……! とルトラが放った矢が、メデューサの眉間に突き刺さる。


「こんな……はず……では……」


 一際強く魔法の光が輝くと、メデューサは消滅したのだった。

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