178.息子、完全復活する【後編】
リュージは復活し、ベリアルの前にやってきた。
彼の手には、完全な形の聖剣がある。
まばゆい光はルコとバブコを包み込む。
「な、なんじゃ……?」
「傷。癒えていく……」
聖剣の持つ能力の一つだ。
味方に治癒を、そして敵には破邪をもたらす。
「リュージ。なぜ戻ってきた?」
ベリアルは静かに、リュージに尋ねる。
「僕の手で、全てを終わらせに来た」
「断ち切れるのか? 長きにわたる因縁を? 母の後ろで守られてきたような、軟弱な貴様に?」
すると背後に立つカルマが、言う。
「貴女は何を見ているのですか、ベリアル。今、息子は立派に私の前に立っているではないですか?」
カルマはバブコとルコを介抱している。
彼女たちを守るように、リュージは剣を手に立っているのだ。
「男子三日会わざれば刮目してみよ。息子は代わったのです。強き竜の子へと」
母の信頼を背に受けて、リュージはまっすぐにベリアルを見やる。
その目に怯えも甘えもない。
ただまっすぐに、宿敵であるベリアルを見えていた。
「ほぅ……。戦う覚悟を決めたようだな」
「ああ。僕はもう、逃げない。自分の運命からも、自分の弱さからも!」
リュージの聖剣が強く輝く。
カルマたちは立ち上がり、リュージの後ろで戦う構えを取る。
「……成った、か。なるほど、いいだろう。その覚悟と力、存分に見せつけるが良い」
かくして、最終決戦の幕が上がるのだった。




