178.息子、完全復活する【前編】
リュージがカルマと再会した、一方その頃。
ルコ、およびバブコは、ベリアルと戦いの最中だった。
……否。
それは戦いではなかった。
一方的ななぶり殺しである。
「はぁ! はぁ! はぁ!」
「くっ……!」
バブコも、そしてルコも、膝をついていた。
完全復活したベリアルだけが空中から、ふたりを見下ろしている。
幼女たちの周りには、激しい爆発や、衝撃のあとが見受けられた。
血痕があちことにべったりと残っている。
「諦めよ。貴様らでは決して、私には勝てない」
ベリアルは厳かな口調で事実を告げる。
そう、それは決して思い上がっての発言ではない。
客観的なデータに基づき、冷静に、現状を報告しているだけである。
「はっ! 阿呆めが……力を取り戻してもおつむは眠ったままなのか?」
「……なに?」
バブコがにやりと不敵に笑う。
「わしらは、端から勝つ気など毛頭無い。そんな場所で勝負はしておらぬよ」
「なにをわけのわからないことを……」
ベリアルの背後に、バブコが転移する。
念動力を応用した瞬間移動だ。
「らぁ!」
地面の岩を浮かせ、それを思い切り、ベリアルにたたきつける。
パシッ……!
「下らぬまねを」
ベリアルは攻撃を受け止める。
それだけで、岩を消し飛ばした。
ガッ……!
「ぐっ……!」
ルコの首を正面から掴み、ベリアルは持ち上げる。
「これで仕舞いだ」
ぐっ……! とベリアルが力を込めた、そのときだった。
ドガァアアアアアアアアアアアアン!




