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冒険に、ついてこないでお母さん! 〜 超過保護な最強ドラゴンに育てられた息子、母親同伴で冒険者になる  作者: 茨木野
11章「最終決戦編」

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176.息子、母と再会する【中編】




 リュージは大声で叫んだことに心を痛ませながら、しかし続ける。


「僕のことはもうほっといてよ! もう母さんなんて顔も見たくないんだ!」


 ……違う。

 本当は誰よりも、今母の笑顔を見たいのは自分だ。


 だが駄目なのだ。

 もうこれ以上、リュージは母の人生を奪うわけにはいかない。


 だって自分は母を殺すために生まれた兵器だから。


「母さんなんて嫌いだ! だいっきらいだ! いっつもいっつも僕にベタベタベタベタ……うっとおしかったんだよ!」


 ……リュージは心ない言葉で、母を傷つける。


 カルマは繊細な女性ひとだ。


 息子に嫌いと言われただけで泣いてしまう、もろい心の持ち主だ。


 ならばもっと酷い言葉で罵れば、さすがの母も、自分に愛想を尽かせていくだろう。


「だいたいあんたなんて僕を産んだ本当の母親じゃないくせに! なに母親面してるんだよ! 正直すっごい迷惑だった! 超すごいウザかったんだよ!」


 ……叫ぶたび見えないナイフが、母の心を傷つけていくのがわかった。


 それと同時に自分の心も痛んだ。

 そのナイフは諸刃の剣だから。


「僕はあんたのこと母親だったなんて一度も思ったことない! あんたと僕とは他人同士なんだ!」


 ……なんて酷い息子だろう。


 いや、それでいいんだ。


 自分の育てた息子は、酷い奴だった。


 恩知らずの最低な奴だったと思われたかった。


 ……だってそうすれば、もう母はこれ以上、傷つかずにすむから。


 リュージは最初から自分の息子ではなかった。


 だからそんな赤の他人リュージがこの後死んだところで、母の心は傷つかない。


 誰かと結婚し、血のつながった本物の息子とともに、幸せになって欲しい。


 ……たとえリュージが、傷付いたとしても。


「帰れ! もう……二度と僕の前に顔を出すな!」


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