174.邪神王、完全復活する【前編】
チェキータたちがメデューサ相手に苦戦を強いられている、一方その頃。
ルシファーのルコ、およびベルゼバブのバブコは、世界蛇ヨルムンガンドと戦闘中だった。
天空城、魔王の間にて。
「GISHAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!」
見上げるほどの巨体。
銀のうろこを持つ蛇が、ルコたちに襲いかかる。
褐色幼女は右手を前に出す。
彼女の瞳が、紫に輝く。
ビタッ……!
「GI……GIGI……」
なんとあの巨体が、この幼い少女の力によって、阻害されていた。
ヨルムンガンドは無理矢理動こうとする。
だが見えない力によって、体を押さえつけられているようだ。
「やるではないか、ルコよ」
「ばぶこ。はやく。あんま。もたない」
「わかっておる。集え、虫たちよ!」
緑髪に触覚を生やした幼女が、両手を挙げる。
彼女の手の周りに、細かい虫たちが集合していく。
それはやがて巨大蛇の体と同じくらいの大きさにまで膨れあがる。
「灰燼に帰すがよい!」
ぶんっ! とバブコが虫の塊を、世界蛇めがけて投げる。
ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
激しい爆発に地面が震動し、爆風でヨルムンガンドが吹っ飛ぶ。
熱風が体を焼きそうになる。
だが直撃を受けたあの蛇ほどではない。
「ばぶこ。いりょく。やべえ」
「おぬしの【念動力】の威力も凄まじいことになっていたな」
「どーして?」
「おそらく、リュージから力が流れ込んできておるのだろう。われらは今、あの子の使い魔というくくりだからの」
「ぱぱ。つよつよ。るぅたち。つよつよ?」
おそらくは、リュージが強くなったから、使い魔のである自分たちも強くなった。
そう言いたいのだろうか。
「まぁ、うんそういうことだ」
ルコたちは吹き飛んでいったヨルムンガンドを見やる。
ぴく……ぴく……とわずかだが動いていた。
その背後に、巨大な白いマユがある。
「べりある。おきるまえに。けり。つけよう」
「そうじゃな。あの中の邪神が目覚める前に、一気にたたみかけるぞ、ルコ!」




