173.エルフ、メデューサと戦う【前編】
リュージ救出のため、天空城へとやってきたカルマたち。
三手に分かれ、チェキータはシーラ、ルトラとともに、メデューサのいるルートに来ていた。
培養カプセルのたちならぶ、広い研究室にて。
「さぁ、行きなさいわたくしの可愛い子たち」
白髪に白衣の女性、メデューサが、手を広げて言う。
彼女を中心として、広大な魔方陣が出現。
「へ、蛇が! たくさんの蛇が押し寄せてくるのです!」
魔方陣から這い出てくるのは、通常サイズの白い蛇たちだ。
チェキータは鑑定魔法を使用する。
「みんな、気をつけて。あの蛇はただの蛇じゃない。特殊な魔法の毒をもっているわ。かまれないように注意して!」
「わ、わかったのです!」
チェキータは右手を前に。
シーラは手に持った杖を構える。
「「【火炎槍】」」
ふたりの発動した炎の魔法は、押し寄せる蛇たちに直撃する。
ドガァアアアアアアアアアアアン!
蛇は爆炎によって吹っ飛ぶ。
「あら、やるじゃない。けどわたくし、致命傷には至ってないわよ?」
そのときだ。
ひゅっ……!
ザクッ!
「あら……?」
ぼた……とメデューサの右腕に、矢がささっていた。
そこからだくだくと血が流れている。
ひゅっ! ひゅっ! ひゅっ!
今度は三連の矢が、メデューサの体に突き刺さる。
「こざかしいわね、ルトラ」
メデューサが手を伸ばす。
魔方陣がまとわりつくと、彼女の腕は、蛇へと変貌した。
ずぉっ……!
メデューサは手を振る。
鞭のような動きで、周囲一帯を攻撃する。
「手応えがないわね……姿を消しているのかしら?」
ひゅっ!
ザクッ……!
「つっ……!」
ルトラの矢が、メデューサの眼に突き刺さる。
「これくらいで致命傷を……」
と、そのときだ。
「ガハッ……!」
メデューサが血を吐いて、膝をついたのである。




