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冒険に、ついてこないでお母さん! 〜 超過保護な最強ドラゴンに育てられた息子、母親同伴で冒険者になる  作者: 茨木野
11章「最終決戦編」

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172.それぞれの戦い【前編】



 チェキータはシーラ、ルトラを連れ、メデューサの待つルートを選択した。


「しーちゃん、ルトラちゃん。こっち来てくれてありがとう」


 チェキータは両隣を歩く少女たちを見て言う。


「けど……本当に引き返していいのよ。この先に待っているのは、邪悪な魔女。下手したら、死ぬことだってあり得るわ」


 真剣な表情でチェキータは言う。


 だがシーラたちの瞳には、何の揺るぎもなかった。


「だいじょうぶなのです! しーら……大事なもの、まもりたいのです!」


「……アタシも覚悟はできてるから。心配しないで、チェキータ」


「ふたりとも……」


「しーらはりゅーじくんと、カルマさんと、みーんなで家に帰るのです! そのためにがんばるのですっ!」


 いつもおどおどしていたウサギ少女。


 だが今の彼女に、おびえは一つも無い。


 彼女もまた、カルマ同様に、成長したのだ。


 邪竜とたくさんのイベントをこなすうちに。


「わかった。けど……本当にあぶなくなったらすぐに逃げなさい。相手は冗談じゃなく強いわ」


「……チェキータ。そのことなんだけど。メデューサは強いから、【作戦】練っておくべきだと思うの」


 ルトラはメデューサの娘だ。


 母の手口をよく理解している。


「そうね……。どんな作戦?」


 チェキータたちは、ルトラから作戦を聞く。


 なるほど……とうなずくチェキータたち。

「わかったわ。それでいきましょう」


 作戦が決まったチェキータたちは、そのまま通路を進んでいく。


 チェキータの風魔法を使って、長い長い通路を進んでいく。


 そして、三人は開けた場所にたどり着いた。


 そこは研究室のようであった。


 左右に培養カプセルがいくつも立ち並んでいる。


「あら、あなたたちが来たのね、デルフリンガー」


「メデューサ……」


 白衣を着た、白髪の女性が、チェキータを見下ろして言う。


「急がずとも世界とともに死ねるというのに。どうして死に急ぐのかしら?」


「そんなつもりはないわ」


 チェキータは剣を抜く。


 切っ先をメデューサに向ける。


「そんな出来損ないの実験体と野ウサギ1匹とで、わたくしに勝てるとでも思っているのかしら」


 メデューサが手を広げる。


 壁や天井に、無数の白い蛇がうじゃうじゃとうごめく。


「ここですべて終わらせる。悲劇の連鎖も、あなたとの因縁も」

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