171.邪竜、手分けして城を攻略する【中編】
カルマ一行は城へと侵入した。
石畳の通路が奥まで伸びている。
「ここ……前に来たときと、構造が違うのです」
シーラがあたりをキョロキョロしながら言う。
「そうですか?」
「どうして作った本人が覚えてないのよ……」
やれやれ、とチェキータが首を振る。
「でもさすがシーラ、大賢者の娘だけ合って、賢いですね」
カルマがシーラを見て微笑む。
「えへへ~♡ そんなぁ♡ えへへ~♡」
少しほんわかしていた、そのときだ。
「カルマよ。敵じゃ」
通路の壁や天井に、数多くのモンスターがへばりついていた。
「……この子らも、アタシと一緒で実験体のなれの果てなんだ。……かわいそう」
ルトラが沈んだ声で言う。
リュージもそうだが、人造勇者を作る課程で、数多くの実験対体が生み出されている。
ルトラはまだ成功作のほうだが、こうして失敗作は、ゲル状だったり、人間の形を保っていないものばかりだ。
「仕方ないわ、ルトラちゃん。せめてわたしたちの手で、葬り去ってあげましょう」
ちゃきっ、とチェキータが剣を抜いて言う。
「いきますよ!」
だっ……! とカルマたちが駆ける。
チェキータは魔法と剣を駆使して敵を排除。
シーラは魔法を、ルコたちは能力を使い、敵を撃破していく。
「でりゃぁあああああああああ!」
一方でカルマはというと、人間姿で、敵を殴り飛ばす。
手には嵐が纏っている。
ドラゴン姿にならないのは、魔力消費を抑えるためだろう。
「一体一体はBランク魔物程度の力を持っているようね。けど……このメンツなら楽勝か」
チェキータが剣についた血を払って、鞘に収める。
そして先へと進んでいった……そのときだ。
先頭を歩いていたチェキータが、立ち止まって、前方を指さす。
「見て、分かれ道よ」




