171.邪竜、手分けして城を攻略する【前編】
息子が捕らわれているのは、かつてカルマが作った天空城。
カルマはチェキータ、シーラ、ルトラ、ルコ、バブコとともに、息子を取り戻すべく城へと乗り込んだ。
天空城の入り口前に着陸。
ドラゴンの姿から、カルマは人間の姿へと戻る。
「ここね、リューが捕らわれているのは」
「でけー。おしろ」
ルコが城を仰ぎ見て言う。
「カルマよ、気をつけるのじゃ。ここからはメデューサ以外にも、ベリアルの気配も感じる」
バブコがカルマを見上げて言う。
チェキータは腕を組む。
「現状ベリアルに対抗できるのは、勇者の力を持つリューだけ。ベリアルが完全復活するまでの間、邪魔されては困るから、対抗手段であるリューを拉致したのね」
「……メデューサもここにいると思う。ベリアル復活の邪魔をされては困るから」
ルトラから、ベリアルの復活までに時間がかかることを、カルマたちは聞いたのだ。
つまりこの城にはベリアル、リュージ、そしてメデューサ。
全員がそろっていることになる。
「なんだ、シンプルな話じゃないですか」
カルマが挑むように、城を見上げる。
「ベリアルとメデューサをぶちのめして、りゅーくんを救う。そういう話でしょう?」
ぐっ、とカルマが拳を握りしめる。
「散々私たち親子を苦しめたのです。あの邪神には、ちょうど一発お見舞いしたいと思っていたところです」
「そうね。お姉さんも、メデューサを一発、殴ってやろうと思っていたところだわ」
カルマは仲間たちを見回してうなずく。
「いきましょう、全部を救ってハッピーエンドを迎えるために!」




