170.邪竜、敵地に乗り込む【中編】
上空に浮かぶ天空城。
そこにリュージが捕らえられている。
カルマは仲間を背に乗せ、ドラゴンの姿で空をかけていた。
すると天空城から、翼を生やした敵がいくつも、こちらに向かって飛んできたのだ。
「さっそく熱烈な歓迎ってわけね」
チェキータが腰から剣を抜く。
シーラは杖を構え、幼女たちも戦闘態勢に入る。
「先手を打つのです! 【火矢豪雨】!」
シーラの杖先から、細かい火の玉が噴出される。
それは上空で矢に変わると、敵の頭上に雨あられと降り注ぐ。
【すごいですね、シーラ。いつの間に上級魔法を覚えたのですか?】
「しーらもひび、進化するのですー!」
「元々しーちゃんは大賢者の娘だからね。魔法の才能はピカイチなのよ。……っと、お姉さんも」
たっ……! とチェキータがカルマの背中を蹴って飛ぶ。
エルフは【飛翔魔法】を使い空を舞うと、敵の群れに突っ込む。
スパパパパパパッ……!
チェキータが通った後、敵はすべて両断されていた。
目にもとまらぬ斬撃を、彼女は繰り出したのだ。
「わしらもゆくぞ、ルコ!」
「おっけー、バブコ」
元ルシファーことルコの瞳が、紫色に輝く。
彼女の能力は【念動力】。
敵を見えない力でちぎっては投げる。
元ベルゼバブのバブコの能力は【操虫】。
彼女はあらゆる虫を自在に操る。
【爆炎虫】という、振れると爆発する特殊な虫の群体を呼び寄せ、敵を破壊していく。
ドガガガガガガガガッ……!
「……カルマ。数が多い。キリがないわ」
ルトラが弓矢で敵を射貫きつつ言う。
【任せてください。準備は完了しました】




