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冒険に、ついてこないでお母さん! 〜 超過保護な最強ドラゴンに育てられた息子、母親同伴で冒険者になる  作者: 茨木野
11章「最終決戦編」

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170.邪竜、敵地に乗り込む【前編】



 カルマは仲間たちとともに、リュージ救出に向けて、出発した。


 現在、カルマはドラゴンの姿で、大空を一直線に駆け抜けている。


「うぉー。かるまー。ちょーはえー」


 カルマの背に乗るルコが、興奮気味に言う。


「しかしカルマよ。おぬし、ドラゴン姿がちがくないかの……?」


 元ベルゼバブのバブコが、カルマの体を見渡して言う。


 かつてのカルマは、漆黒のうろこに、剣山ののような歯、そして恐ろしいオーラを放出するまさに邪悪なる竜だった。


 しかし現在のカルマは、邪竜姿をしていない。


 体は大きいが、4足歩行に翼をはやした、ごく一般的な竜のフォルムになっていた。


 もちろんオーラは出ていない。


【これが本来の私の姿なのですよ。邪神の力を取り込んだことで、姿が変質していたんです】


「……けど、カルマ。だいじょうぶなの?」


 人狼少女ルトラが、不安げに尋ねる。


「……相手はメデューサにベリアルもいるんだよ? 邪神の力なしで太刀打ちできるの?」


「問題ないわ、ルトラちゃん」


 チェキータが微笑む。


「邪神の力なんてなくっても、今のカルマは誰よりも強いわ」


「そうなのです! 子供を守るときのおかーさんが、一番つよいのですー!」


 チェキータの言葉に、ウサギ獣人のシーラが同調する。


【そういうことです。それに……私には完全に無力ではありません。『受け継いだ力』がありますから】


「……それってどういうこと?」


 と、そのときだった。


「みなさん! 敵が来るのですー!」

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