167.エルフ、メデューサと対峙する【中編】
隠蔽スキルを使い、チェキータはメデューサに一撃を食らわせようとした。
しかし世界蛇ヨルムンガンドがそれに気づき、攻撃を仕掛けたのである。
「がはっ! げほっ! ごぼっ!」
攻撃された場所から数百メートル離れた場所にて。
チェキータは膝をつき、血を吐いていた。
「さすがデルフリンガー。攻撃のタイミングで、防御の魔法を使っていたのね」
すぐ目の前には、銀の大蛇にのったメデューサがいる。
「……どうして、気配は完璧に隠していたはず」
「この蛇のうろこには、目には見えないものを肌で感じ取る特殊な能力を持っているの」
うっとりとした顔つきで、メデューサが蛇の頭をなでる。
「物理、魔法攻撃を完全無効化に加えて、そのほか多種多様な能力を付与して作った……わたくしの最高傑作よ」
「……そうやって。いくつものの命をふみにじりやがって!」
チェキータはメデューサをにらみつける。
「リューも……ルトラも、命をなんだと思っているの!」
リュージを作ったのはこの女であり、彼の仲間である少女もまた、この女に作られた人造生物だ。
「そんなの、かわいいかわいいわたくしの、実験動物に過ぎないわ」
「このっ!」
チェキータは死力を振り絞り、ナイフを投擲する。
がきんっ……!
ヨルムンガンドが自身の尾でそれをはじいた。
「つまらない女ね。さようなら、デルフリンガー」
ぐぁっ! とヨルムンガンドがその巨大な尾を持ち上げると、チェキータに振り下ろす。
「……ごめんなさい、ふたりとも」
チェキータは死を覚悟して、攻撃が来るのを待った。
どごぉおおおおおおおおおおおん!
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