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冒険に、ついてこないでお母さん! 〜 超過保護な最強ドラゴンに育てられた息子、母親同伴で冒険者になる  作者: 茨木野
11章「最終決戦編」

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166.息子、捕まる【前編】



 メデューサから真実を告げられてから、数十分後。


 リュージは呆然と、カミィーナの町を歩いていた。


「…………」


 先ほど発覚した事実。


 それは、リュ-ジがカルマを殺すためだけに作られた生物兵器だった、ということ。

「…………」


 無人島で、人造の存在であることを聞かされた。


 そのときもショックだったが、母はそんな自分を受け入れてくれた。


 だからリュージは立ち直れた。


 ……しかし、今回は。


 自分は母を殺す存在だった。


 そんなことを……母が受け入れてくれるはずもない。


 もしも、息子リュージの真実を、カルマが知ってしまったら……。


 いくらカルマであろうと、リュージを拒むに決まっている。


 今まで、あふれるほどの愛を注いでくれていた母が。


 自分を怖がったり、拒絶するかもしれないということに、リュージはすさまじい恐怖を覚えた。


「どうしよう……どうすば、いいの……」


 リュージは完全に迷子になっていた。


 今までは、自分の前に壁が立ち塞がることは全くなかった。


 襲い来る障害は、すべて母が瞬く間に取り除いてくれていたからだ。


 しかし今、カルマを完全に頼ることができない状況にある。


 今まで、そんなこと、生まれて一度もなかった故に、リュージは対処方法がわからないでいた。


「……ひくっ。ぐすっ」


 いろんなことが一気に起きて、リュージはストレスに耐えきれなくなって涙を流した。

 

「ごめんね……母さん……生きてて……ごめんね……」


 一生懸命に育ててくれた母に、申し訳がなかった。


 血がつながっていない自分を、我が子同然……いや、それ以上に愛してくれたのに。

「……ごめん。母さん。ごめんね……」


 と、そのときだ。


 ゴゴゴゴゴ……!!!


「な、なんだ……地震……?」


 突如として激しく地面が揺れ動いたのだ。

 空が暗雲に包まれる。


 ぽつ……ぽつ……と天から雨が降り注ぐ。

 ジュッ……!


 雨は石畳の地面にぶつかると、そんな音を立てて、石を溶かしたのだ。


「酸……? い、いったいなにが……?」


 リュージは周囲を見渡す。


 だがいつものカミィーナの町並みが広がっているだけ……。


 いや、違う。


「なんだろう……邪悪な気配がする……」


 勇者としての力に目覚めたリュージは、いちはやくその存在に気づくことができた。

 リュージは異常な気配の方へ向かって、走り出す。


 勇者の力がリュージの身体能力を向上させていた。


 だっ……! と強く跳躍し、町の屋根を伝い、あっという間に町を囲む壁の上までやってきた。


「なっ!? なんだあれ!?」


 遠くにいたのは、驚くほど巨大な、銀色の蛇だった。

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