164.終わりの始まり3
魔王四天王のひとり、メデューサ。
彼女は邪竜カルマアビスから、最強邪神ベリアルの力を奪った。
その後カルマを殺害しようとして、その母であるマキナを倒す。
話はその数時間後。
メデューサの拠点である、研究室にて。
「くふふふふっ。ようやく手に入れまいた。この力……」
うっとりとした表情で、メデューサが微笑む。
その手には闇色の結晶が握られている。
ベリアルの力の源であるそれを、うっとしとした表情で、メデューサが見やる。
「さて……ベリアル様」
研究室の奥に巨大な石のイスがある。
そこには勇者の体に憑依した、邪神ベリアルが座っていた。
「ついにこのときが来たのです。さぁベリアル様。力を取り戻し、世界の破滅させましょう」
「……やめよ、メデューサ。世界を壊すことに何の意味も無い」
「アア、まだそんな世迷いごとを……。しかしもう安心してください。これであなたは本来の自分を取り戻せますわ」
メデューサはベリアルに近寄り、彼の胸部に、結晶をはめ込む。
「ガッ……! グッ……! ぐぁああああああああああああああああああああ!」
結晶からベリアルの体へと、邪神の力が流れ込む。
ベリアルは苦しそうにもだえる。
「あなたは今、勇者の体に残留した勇者の力、そして今取り込もうとしている魔王の力とが拮抗している状態です。正負の力がせめぎ合って、あなたは死ぬほどの苦しみを覚えているでしょう」
しかし……とメデューサが続ける。
「じき、二つの力が完全に融合し合う。そうなればあなたは無敵の存在になりますわ」
その場で苦しみもだえるベリアルを残し、メデューサは大蛇ヨルムンガンドのもとへと向かう。
「さぁ、わたくしの可愛い世界蛇。ベリアル様が完璧なる存在になるまでの時間稼ぎをしますわよ」
メデューサはヨルムンガンドの頭部にひらりと飛び乗る。
「GISHAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!」
世界蛇は地鳴りを起こすほど、巨大な声で吠えると、地面を突き破って外に出る。
「GISHAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」
国を飲み込めるほどの巨大な蛇は姿を現し、そしてその巨体を引きずりながら、地面を平らにしていく。
「さぁ! 終わりの始まりを、始めましょう!」
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