163.邪竜、母を失う【前編】
メデューサの襲撃にあい、カルマは命の危機に瀕した。
だがそれをかばったのは、母マキナだった。
話は、カルマから邪神の力が奪われた直後。
「マキナ!!!」
カルマは地面に横たわるマキナの元へ駆けつける。
彼女は、下半身を失っていた。
世界蛇という強大なモンスターが、マキナの体を食いちぎったのである。
「待ってなさい! 今治癒を!」
カルマはマキナのそばにしゃがみこんで、手を伸ばす。
「くそ! どうして治癒魔法が発動しない!?」
ベリアルの力を失ったからだと、カルマはすぐに気付いた。
カルマアビスは、ベリアルを取り込む前は、ただのドラゴンだった。
治癒の魔法を扱うためには、高等な技術と才能が必要となる。
才能を失った今、カルマに回復魔法を使う力は、ない。
「くそっ! ポーションを! 今取ってきます!」
カルマは立ち上がって、急いで街の薬屋まで走って行こうとした……そのときだ。
ハシッ、とマキナが、カルマの腕を掴んで止めたのだ。
「カルマ……良い。わがはいは……もう……助からない。それより……そばにいてくれ……」
書籍、コミックス好評発売中です!




