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冒険に、ついてこないでお母さん! 〜 超過保護な最強ドラゴンに育てられた息子、母親同伴で冒険者になる  作者: 茨木野
11章「最終決戦編」

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160.息子、真相を知る【中編】



「母さんを、滅ぼすため……?」


 メデューサの結界内にて。


 リュージは白髪女性から、真相を聞かされた。


「いったい……何の話をしているんですか……?」


「そうね。じゃあわかりやすい話をしましょうか、坊や」


 メデューサは異空間から、小さな球体を取り出す。


「これは、あなたの住むこの星の模型よ。さてリュージくん、質問。かつてこの星を壊そうとした存在がいたわね。だれか、知っているかしら?」


「邪神王……ベリアル?」


「そう。世界破壊、そして混沌を望んだ最強にして最凶の悪神。その神が生きていたら、世界は滅んだ。ここまではいい?」


 リュージはうなずく。


「次の質問。そのベリアルを倒したのはだれ?」


「母さん」


「そう、あなたの母親、カルマアビスよね。悪い神は滅ぼされ、世界は平和になりました。人間は大喜びです。めでたしめでたし……」


 メデューサはリュージを見やる。


「果たして、そうかしら?」


「……どういう意味ですか?」


「まだベリアルは消滅したけれど、完全には安心とは言えないわね。なぜだと思う?」


「……魔物がいるから?」


「それもそうだけれど、もっと根本的な話。果たして今のこの世の中、ベリアルの脅威が完全に取り除かれたと言えるのかしら?」


 そうではないという言い方に、リュージは思いを巡らせる。


 ベリアルの脅威、力は……確かに完全消滅したわけではない。


 母の体の中に、存在している。


「そう、ベリアルはまだ生きている。あなたの母親のなかに。それを排除しない限り完全なる世界平和と言えない。しかしカルマアビスは最強にして無比の存在。勇者が行方知らずの今、世界最強の邪竜に太刀打ちできる存在はいない」


 ではどうするか、とメデューサ。


「偉い人たちは、カルマアビスと戦って勝てないのであれば、戦わない方法で邪竜を滅ぼす方法を考えた。そうして生み出されたのは、孤独な邪竜に息子をあてがい、その子を育てさせるという回りくどいやりかたよ」


 つまり、とメデューサが続ける。


「邪竜に人間を好きになってもらうの。そしてその人間を溺愛し、その子なしでは生きていけないところまできて、こう言わせるの【母さん、僕のために死んでって】」


 メデューサが邪悪な笑みをリュージに向ける。


「これが【邪竜滅殺計画】。最高にイカレてて、最高に優しい、魔王退治の方法よ」


 リュージは、やっと理解した。


 自分の置かれている立場を。


 つまり……。


「じゃあ……母さんに死ねと言わせるためだけに生まれたのが、僕ってこと……?」

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