160.息子、真相を知る【前編】
夜。
カミィーナの街にて。
リュージは白髪の美女【メデューサ】と邂逅した。
「……僕を作ったのが、あなた、ですって?」
メデューサの張った結界のなか。
リュージは目を見開く。
「そう。勇者の細胞を培養し人工的に作られたのが坊や、あなた」
その事実は、無人島でマキナから聞かされた。
確かに人工的に作られたというのならば、創造主がいるはずである。
まさかこの人がそうだというのか。
「……本当、なんですか?」
にわかには信じがたい事実だった。
『本当だ』
そのときだ。
ぱぁ……! とリュージの左手が輝く。
勇者の紋章が輝いていた。
すると金髪の幼女、マキナが出現した。
「あら、マキナ。あなた、随分と可愛い姿になったわね」
「……黙れ、メデューサ」
マキナは眼前の白髪女をにらみ付ける。
「りゅーじに何かしたら貴様を殺す」
「あら、怖い怖い。なにもしないわよぉ」
どうやらマキナとメデューサとは、既知の間柄のようだった。
「りゅーじ。こやつは魔王の四天王が1人だ」
そうか。
マキナと同種なのか、この人は。
しかし第三者の意見が聞けたことで、先ほどのマキナの発言の信頼度が上がった。
「僕を作ったって……いったい、なんのために?」
「くふっ♡ 知りたい?」
「……ええ」
最大の謎だった。
自分が勇者のクローンなのはわかったが、どういう意図があって生み出されたのか。
それをリュージは知らなかったし、本当の親がいないと知ってから、一番知りたいと思っていたことだ。
「それはですねぇ……」
メデューサはニヤニヤと笑いながら、口を開く。
「邪竜カルマアビスを、滅ぼすためですわ」
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