159.息子、メデューサと邂逅する【後編】
カミィーナの街にて。
リュージは【メデューサ】という、白髪の長身女と邂逅した。
「あの……あなたは?」
するとリュージをかばうように、チェキータが前に立つ。
「リューに手を出すつもりなら容赦しないわよ!!!!!」
「ちぇ、チェキータさん……?」
そこにいたのは、いつもの余裕あるお姉さんエルフではなかった。
全身から殺意がわき上がり、鋭い目つきで相手をにらみ付けている。
「あらあら怖いわデルフリンガー。別にあなたの大事な息子を取って食うなんてこと、するつもりはないわ」
チェキータに気圧されることなく、メデューサはニコニコしながら、リュージに近づいてくる。
「リュージくんね。初めまして。わたくしはメデューサ。あなたに真実を告げにきたのよ」
「真実……?」
「メデューサ! 帰りなさい!」
チェキータは声を荒らげる。
「別に良いけど、知りたくない、坊や? あなたの真実。あなたの母がどうして、あんな黒焦げになってしまったのか?」
「! し、知りたいです!」
「リュー! そいつに耳を貸してはいけないわ!」
チェキータはリュージをかばうようにして抱きしめる。
「で、でも……」
「リューは知らなくて良いの。帰るわよ」
チェキータはリュージの手を引いて、その場から去ろうとする。
「坊や、いいの? いつまでもそうやって、お母さんに甘えるだけで」
「…………」
「この先も真実を知らないで、のうのうと生きていくの?」
「聞いちゃダメ! 帰るわよ!」
チェキータがぐいっ、と手を引く。
「あなた、ちょっとうるさいわよ」
メデューサがパチンッ、と指を鳴らす。
リュージとメデューサのふたりを包み込むように、結界が張られた。
「デルフリンガーをも阻む結界術よ」
「……あなたは、何者なんですか?」
「わたくしはメデューサ。魔王四天王が1人、後方のメデューサ」
確かに注視すると、メデューサからは、ルコたちと同様の魔力を感じられた。
「……僕の、何を知ってるんですか?」
「全て、よ。わたくしあなたのこと、全部知っていますの」
「それはどうして……?」
にぃ……っとメデューサが口の端をつりあげる。
「わたくしが、あなたを造りあげたからよ。【リュージ】。人造勇者【最終番号】」
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