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冒険に、ついてこないでお母さん! 〜 超過保護な最強ドラゴンに育てられた息子、母親同伴で冒険者になる  作者: 茨木野
11章「最終決戦編」

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158.邪竜、孫になぐさめられる【前編】



 リュージが友達と楽しく過ごしている、一方その頃。


 カルマは地上にいなかった。


 遥か上空、成層圏を突き破ったその先、月面に座っていた。


「…………」


 最強の力を持つカルマにとって、宇宙にでることなど容易いこと。


 ぼんやりと地球を見ていた、そのときだ。

「かるまー」


「ルコ……あなた、どうしたのですか?」


「かるま。いない。さがす。るぅ。みつけた」


 金髪褐色の幼女、リュージの娘ルコが、カルマの頭上から降りてきた。


「かるま。いつも。ここ。くる。どーして?」


「最近考え事するときは、ここに来るんですよ。おいで」


 カルマが手招きをし、ルコはその膝上に座る。


「どーして、ここ?」


「……静かですので」


 本当は、違う。

 地上にいると、勇者の力に殺されそうになるからだ。


 先日、リュージの勇者の力は、今までに無いくらい強くなった。


 同じ空間にいることさえも、結界を張ってようやく保てるレベル。


 地上を離れた場所に来ないと、カルマはまともにたっていられないのだ。


「かるま。いたいいたい?」


 ルコがカルマを見上げていう。


「いたい?」

「……そうですね。痛いです。心が」


 リュージの前では、平気な顔をしないといない。


 それは大好きな息子に嘘をつく、母として最低の行為だ。


 笑顔を振りまくたび、カルマは泣きそうになる。


 ごめんねと。嘘をついて、ごめんねと。


「うぉー、かるま。げんき、だせー」


 

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