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冒険に、ついてこないでお母さん! 〜 超過保護な最強ドラゴンに育てられた息子、母親同伴で冒険者になる  作者: 茨木野
11章「最終決戦編」

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157.息子、同窓会に参加する【前編】



 リュージが、夢のなかで勇者と邂逅してから、半月ほどが経過した。


 ある日の夜のこと。

 自室にて。


「……これも、違う。これも、違うか」


 机の上には、大量の本が置いてある。


 それらをひとつ手に取ってページをめくっては、それを閉じてはぁ……とため息をつく。


「どこにも書いてない。魔王と勇者関係の文献って、思ったより少ないな……」


 と、そのときだった。


 コンコン……。


「はーい。どなたですか?」

『えとえと……しーらなのです! 入って良いのです?』


 どうぞ、とリュージが促すと、兎獣人のシーラが入ってくる。


「わっ。お部屋に本がたくさんなのです。どうしたのです?」


「うん……ちょっと調べ物」


「もしかして……カルマさん関係?」


「まあそんなとこ」


 カルマの体の不調は、ケガや病気の類いではない。


 あの無敵母が、外的要因で体調不良になるなど考えられなかった。


 となると内的な要因、つまりその身に宿した邪神の力が、何か関係あるのではないか。


 そう思って、リュージは片っ端から、邪神、魔王、勇者関係の本を調べている。


 なのだが、やはり大昔の話であるからだろう。


 なかなか思った記述の書いてある文献がないのだ。


「りゅーじくんは、やさしーのです」


 うふふ、とシーラが微笑む。


「お母さんのために、いっしょーけんめーなのです」


「ありがとう。照れるなぁ」


「けど……根を詰めすぎなのです」


 シーラが真剣な表情で、リュージに近づいてくる。


「最近リュージくん……寝てないのです?」


「え……? そ、そんなことないよ」


「うそ。りゅーじくん、うそつくと、眉間にしわが寄るのです」


「え、ほ、ほんと?」


 リュージは自分の眉間を触って、そして気付く。


「やっぱり……」

「か、かまかけたの……?」


「りゅーじくん。一生懸命なのはすごっく立派だと思うのです。けど、がんばりすぎて体壊しちゃだめなのです!」


 シーラが真剣に怒っていた。

 彼女は、誰よりも優しい。


 だからこそ、リュージの体を本気で心配して、怒ってくれているのだ。


「ありがとう、シーラ。けど、大丈夫。僕最近、寝なくても元気なんだ。これは本当だよ」


 夢のなかで、勇者の力を引き継いでから特に。


 リュージの体のなかでは、気力と体力が満ちていた。


 睡眠も休養も必要なく、動くことができる。


 これが勇者。

 魔を滅し、世界に平和をもたらす存在。


 そのくらいの莫大なエネルギーがなければ、世界なんて救えないのだろう。


「でもきゅーよー、大事なのです! そこで! しーら、いっけーを案じましたのです!」


 はしっ、とシーラがリュージの手を引いて、立ち上がらせる。


「いきましょー、なのです!」


「行くって……どこに?」


「冒険者ギルドに、なのです!」

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