154.邪竜、息子の嫁に励まされる【後編】
食後。
リビングにて。
「夢のような時間だったのですぅ~……♡」
お腹をスリスリとさすりながら、シーラが夢見心地につぶやく。
「カルマさんはお料理の天才なのです!」
「ふふっ、ありがとうシーラ」
カルマはパチンと指を鳴らす。
リンゴのお茶をポットごとだして、シーラとカルマふたりぶん用意する。
ふたりでお茶をすする。
「リュージくん、ほんとうらやましいのです。こんな素敵なお母さんがずっとそばにいてくれて……」
「……そう思いますか?」
「はいなのです! いいなぁ……」
シーラの顔は、嘘をついてるようではなかった。
母としての腕を褒められ、カルマの心は上向きになる。
「しーらもカルマさんみたいな、素敵なお母さんになりたいのです!」
「ほ、ほほぅ! ま、まあ! 頑張ればなれますよ! なにせあなたは、りゅーくんの嫁なのですから!」
「ほんとっ? わーい! えへへ~♡」
シーラの無邪気な笑みを見ていると、沈み賭けていたカルマの心が、安らかになっていく。
「良かった、カルマさん、少し元気になって」
「シーラ……」
「最近カルマさん、元気なかったのです。無理して笑ってるみたいで、心配だったのです」
シーラはカルマの手を、キュッと握ってきた。
「カルマさん、言いたくないことは言わなくて良いのです。けど……ずっと気張っていたら、疲れちゃうのです。しーら、いつもカルマさんにお世話になっているのです。愚痴ならいつでも付き合うのです」
「…………」
カルマは、目を丸くする。
そして、微笑んだ。
「ありがとうシーラ。あなたは……優しい子ですね。……ほんと、りゅーくんにぴったりの、優しい子ですよ……」
ぐす……とカルマが涙を流す。
今まで無理をしていたから、緊張がほぐれて……ほっとしてしまったのだ。
「ありがとう、シーラ」
「えへへっ。どういたしましてなのですっ」
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