152.息子、エルフに相談する【中編】
冒険者ギルドにて。
チェキータに相談しに来たリュージ。
彼女から抱擁され、ドギマギとしてしまう。
「あの……チェキータさん。その……」
「ん? どうしたの?」
「は、恥ずかしいのでその……」
チェキータが抱擁を解いてくれる。
彼女のとてつもない軟らかな乳房と、そして蕩けるような甘い匂いの余韻に、クラクラとしてしまう。
「カルマの件は……正直……お姉さんも、どうしたらいいかわらないわ」
リュージは目を丸くする。
いつも相談すれば、解決策を教えてくれたチェキータが。
わからない、と言った。
「先生も、わからないことってあるんですね」
「先生、か……懐かしい呼び方ね、それ」
かつてチェキータは幼少リュージの家庭教師をしていた。
何でも知っている、キレイなお姉さん先生だった。
「私も。長く生きてきて、こんなに難しい問題に初めて直面したわ。どうしたらいいのでしょうね」
いつも微笑んでいるチェキータが、悲しそうに目を伏せた。
それほどまでに、カルマの抱える問題は大きいと、思っているのだろう。
「ごめんね、リュー。頼りない先生で」
「そんな! チェキータさんは頼りになる人です! いつも僕らを導いてくれる、頼れるお姉さんですよ!」
「……ありがとう」
チェキータは目を丸くして、微笑むと、リュージの頭を撫でる。
「リュー。今わたしがいえるのは、あの子の悩みを無理に聞き出すのは無理ということよ。あの子が自分の口で言ってくれるのを、待つしかないわ」
チェキータになら、母は悩みを打ち明けていると思った。
だが知らないのか、聞かされていないのか、手がかりがつかめなかった。
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