152.息子、エルフに相談する【前編】
母の様子が、確実におかしい。
気になったリュージは、チェキータに相談することにした。
母に聞かれない場所で、ということで、ふたりはカミィーナ冒険者ギルドまでやってきた。
美貌のエルフ、チェキータ。
リュージにとっての第2の母といえる。
ふたりはテーブルを挟んで座る。
「それで、リュー。どうしたの、相談って?」
「実は……最近母さんの様子がおかしいんです」
「……カルマがおかしいのは、いつものことじゃない」
注文したワインがグラスでやってくる。
チェキータはワインを飲む。
「いえ……なんというか、普通すぎるんです。普通すぎておかしいんです」
リュージは、最近のカルマの行動をチェキータに報告した。
彼女は黙って、言葉に耳を傾ける。
「母さん、何か無理してるんじゃないかって、僕思うんです」
「……そう思うの何か根拠でもあるの?」
「ない……ですけど、わかるんです。だって、親子だから」
母が何かを隠していること、そして、無理をしていることは、伝わってくるのだ。
なにもしなくても、わかるのだ。
「……リュー。あなたは、本当に良い息子ね」
チェキータは一度消えると、リュージの隣に出現する。
その大きな胸に、リュージの頭を抱く。
「あの子があなたを可愛がる理由、よくわかるわ。だって……こんなに良い子で、けなげで、優しいんですもの……」
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