151.息子、母の様子がおかしいと気付く【中編】
オーガとの戦闘に勝利したリュージ達。
冒険者ギルドで換金を終えて、家に帰ってきた。
「ぱぱー」
ルコが真っ先に、リュージを出迎えてくる。
「ぱぱー。かえったー。かるまー」
リュージに抱きついたあと、奥に引っ込む。
「あらりゅーくん。おかえりなさい」
カルマがルコを抱っこして、リュージの元にやってくる。
「…………」
「どうしました、りゅーくん?」
「あ、いや……なんでもない。ただいま」
いつもは無意味に抱きついてくるカルマだが、今日は距離を取っていた。
「ご飯の用意してますので、お風呂はいってきてくださいね」
カルマがニコニコしながら言う。
「う、うん……。あの、母さん」
「はい? どうしました?」
「その……今日の冒険って、見ていた?」
「? いえ、特に」
「そ、そう……」
普通だ。
普通の反応だ。
だからこそ、異常だった。
リュージはタオルと着替えを持って風呂場へとやってくる。
着替えて風呂につかりながら、リュージは考え事をする。
「母さん、どうしたんだろう……最近変だ」
今日は特にそうだ。
オーガとリュージは戦闘になった。
そしてダメージを負った。
すわ殺され駆けたのだが、それでもカルマはやってこなかった。
「いや、これが普通なんだよね。けど……」
りゅーじはカルマに普通を望んだ。
少しずつカルマリュージに理解を示してくれた。
だが今回のはさすがに代わりすぎた。
劇的に、変化しすぎている。
それに母は、いつも通りを装っているようにリュージには感じた。
表面上はいつものカルマお母さんなのだが、確実に無理をしている。
「どうしたんだろ……聞いてみようかな」
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