148.邪竜、寝込む【前編】
母と仲間たちと、初詣に行った、翌日のこと。
その日、リュージは早起きした。
着替えて、1階のリビングへと向かった。
「あれ? 母さんがいない……」
カルマは、普段すごく早起きして、朝ご飯の用意をしている。
その母が、今朝に限ってはいなかった。
「僕が早起きしすぎたかな……?」
いやでも前に、夜明け前から朝食準備しているときがあった。
自分がカルマより早く起きれたことなんて、滅多にない。
「…………」
少し気になって、リュージは母の部屋へと向かった。
「いやでも……寝てたら、悪いよね」
気にしすぎだと思って、リュージが出て行こうとした、そのときだ。
ドゴンッ……!
何か重い物が、落ちるような音がした。
「なんだ……?」
リュージは慌てて、母の部屋の前までやってくる。
荷物でも落ちたのだろうか?
「母さん……? 起きてる……ごめんね、今結構大きな落としたけど……」
ドア越しに、リュージが母に話しかける。
しかし返事がなかった。
「…………」
母は、どれだけ熟睡していても、リュージが声をかければ起きた。
けれど、今母は起きない。
……いやな予感が、脳裏をよぎる。
「母さん……入るよ」
がちゃっ、とドアを開く。
完全にドラを開ききって、リュージは言葉を失った。
「母さん!?」
カルマが、ベッドのそばで、倒れていたのだ。
「母さん!? どうしたの、母さん!?」
リュージは母の元へと走る。
抱き起こして、カルマの体を揺する。
「母さん! 母さん!!」
カルマの顔は真っ青だった。
肩を揺すっても、目を開けようとしない。
そこで、リュージは気付いた。
「……血が」
ベッドの下、さっきカルマがいたところに、血だまりができていたのだ。
カルマの口元に、血の跡がついている。
「ちぇ、チェキータさーーーーん!」
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