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147.息子、母と祖母の仲を取り持つ【後編2】

書籍、コミックス第2巻、好評発売中です!



 カルマは、息子たちと初詣に来ている。


 楽しい時間のはず……なのだが。


 どうにも集中できない。


 その理由はわかっている。


 自分の母マキナが、すぐそばにいるから。

 マキナが腹が減ったというので、カルマは屋台で焼きそばを買った。


「はい、どうぞ」


 店主から受け取った焼きそばを、マキナに手渡す。


「すまないな、カルマ。わがはいは金を持っていない」


「いえ……お気になさらず」


 カルマは、マキナとまともに目を合わせられない。


 それは気まずさからくる。


 母マキナは、幼いカルマの育児を放棄して、いつもどこかへといってしまっていた。

 カルマはそんなマキナことが、端的に言えば嫌いだった。


 だが無人島での出来事。

 マキナは息子の命を狙ってきた。


 カルマは死力を尽くして、母と戦った。


 だが最後には、母は自ら、命を差し出すようなマネをしてきた。


 そして息子のためにマキナを殺したことを、それでいいと許してくれた。


 ……カルマは困惑した。

 母は自分のことに、興味が無いと思っていた。


 けど違った。

 なんで……? と。


「カルマ。どうした?」


「……別に」


「そうか」


 ぐぅ~~~~~~………………。


「…………」


「カルマ、どうした?」


「いやどうしたって……あなたがデカい腹の音を立てるから」


「なに? わがはいではないぞ」


 じゅるり……とマキナが焼きそばを凝視し、涎を垂らしながら言う。


「……お腹すいてるのですか?」


「そんなことはないぞ」


 ぐぅ~~~~~~………………。


「そんなことはないぞ」


「……はぁ。少し速いですが、先に集合場所まで行きましょうか」


 たしかベンチがあったはずだ。


「カルマ」


「なんですか?」


「もう向かうのか?」


「いやだって……あなたお腹すいてるんですよね? なら先言ってベンチに」


「いや、それならもう少し食いたいものがあるのだ。そっちも興味がある」


「……わかりましたよ。好きなだけ食べたいものを言ってくださいよ」


「なんだと?」


 くわっ、とマキナが目を見開く。


「いいのか?」

「ええどうぞ」


「好きなだけとは好きなだけだな?」

「ええそうですけど」


「本当に良いのだな?」

「……しつこいですね、あなた」


 では……とマキナが屋台を指さす。


「ここに出ている屋台の食い物、すべて欲しい」


「はぁ? あなた、何をふざけたことを……」


 しかし母の表情は、至極真面目だった。

 どうやら本気で言っているらしい。


「カルマ。貴様は言ったな。好きなだけいいと」


「ええまあ……しかし全部というのはちょっと……」


「なんだ? 嘘だったのか?」


「いやまあ……別に良いですよ」


 カルマはため息をつきながら、マキナに付き合い、買い物をした。


 すべてを手で持つことができなかったので、亜空間に収納しておく。


 あらかた買い物を終えて、カルマはげっそりしていた。


「カルマ。速く食べに行くぞ」

「はいはいわかりましたよ……」

※読者の皆様へ



今年1年、大変お世話になりました。


読んでくださってる皆様のおかげで、この作品は書籍化、コミカライズ化することができました。


5月に漫画版が連載開始して、7月、12月と、漫画と書籍を出すことができました。


手にとってくださっている皆様、そしてなにより、ウェブ版を読んでくださっている皆様のおかげで、カルマたちをたくさんの人に知っていただけるチャンスを得られました。


今年もお世話になりました。

来年もカルマたちを、よろしくお願いします。


良いお年を!

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