147.息子、母と祖母の仲を取り持つ【後編1】
参拝をおえたリュージ達は、すぐに帰らず、近くを見て回ることになった。
「おー、パパ。おみせ。いっぱい。おー」
ルコが軒先に並ぶテントを見て、目をキラキラさせる。
「お正月は特に人が来るから、商人さんたちもたくさんお店出してるみたいだね」
「ぱぱー。たべたいっ。るぅ。いっぱい。たべたいっ」
「うん、じゃあみんなで行こっか」
リュージは仲間たちとともに、王都のメインストリートを歩く。
あちこちでテントが並び、その中から香ばしい匂いがただよってくる。
「るぅ。あのいーかおりの球、食いたい」
「しーらはあっちのあまーいにおいのやつ、食べたーいのですー!」
「じゃあそれぞれ食べたいものを買って、あっちの噴水で集合にしようか」
「「「さんせー!」」」
ワッ……! と仲間たちが散る。
ルコとバブコの面倒を見ながら、リュージは横目で、カルマたちの様子をうかがう。
「カルマ。何か食べたい物はあるか?」
「……いえ、別に」
「そうか」
ぐぅ~~~~~~………………。
マキナのお腹から、とてつもなく大きな腹の虫の音が聞こえた。
「カルマ」
「……なんです?」
「何か食べたいものあるか?」
「……いえ」
「そうか」
ぐぅ~~~~~………………。
「カルマ」
「あーもう! なにか食べたいなら食べたいって素直に言ってくださいよ!」
カルマがマキナの手を引いて、出店のほうへと歩く。
「いいのか?」
「……別にいいですよ」
「そうか。カルマ」
「……なんです? お礼は別に不要」
「いや、こっちじゃなくあっちの屋台で売ってるものが食べたい」
「わかりましたよっ! もうっ!」
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