147.息子、母と祖母の仲を取り持つ【中編2】
初詣に王都へやってきたリュージ達。
女神像のもとへ参拝に行こうとするが、しかし大行列。
「のんびりまちましょーなのです」
「そうだね……って、母さん?」
カルマが、空いているほうの手を、人混みに向けていた。
「何してるの母さんっ?」
「え? 殲滅?」
「危ないことしないでっ!」
「大丈夫! 全員大空に転位させるだけなので、死にはしないです」
「落下で死にます! 大人しくしててっ」
「ふぁーい……」
カルマが不服そうにつぶやくと、マキナがクスッと笑った。
「……なんですか?」
「いや、リュージはよき息子だなと思ってな」
「そ、そうでしょっ。りゅーくんは自慢の息子なんですからっ」
えへんとカルマが胸を張る。
マキナは微笑ましいものを見る目で、カルマを見やる。
「しっかりお母さんしてたんだな、おまえは」
「……当たり前です」
リュージは、母たちの会話に耳を傾けていた。
というか仲間たちみんながである。
「人間を竜が育てる。大変なことも多かっただろう」
「……そうですよ。あなたが母として何も教えてくれなかったから、大変でした」
「……すまぬ」
やはり、どこかギクシャクした会話になっていた。
だが母も嫌みでいったのではなさそう。
やってしまった、みたいな顔になっている。
「い、いえ……もう過ぎたことですから」
「そうか……すまない」
「……何度も謝らないでくださいよ。もういいので、どうでも」
カルマが投げやりな感じで言う。
「母さ……」
リュージが声をかけようとして、その方を、チェキータが叩く。
「ダメよリュー。今は、あの親子の問題」
「……そう、ですね」
「見守りましょう、あの二人を」
りゅーじはうなずくのだった。
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