147.息子、母と祖母の仲を取り持つ【前編】
初日の出を見た後。
今日は元旦。
この世界でも新年を祝うという行事は根付いている。
リュージたちは母や仲間たちとともに、初詣へと赴いていた。
「りゅーくん! 迷子にならないよう……お母さんとしっかり、しっかり手をつないでおきましょうね!」
カルマがリュージの手を、むぎゅーっと握りして言う。
「い、いや……僕は大丈夫だから」
「いーえっ! こんな人混みで迷子になったら!? 悪い人に路地裏につれていかれたら!? オチンチンランドに連れて行かれたら!?」
「どこそこ……」
「とにかくっ! りゅーくんが迷子になってしまっては大変! お母さん気が動転して街を火の海に沈めてしまうかも!」
カルマが青い顔をしていう。
「なので一緒に手をつなぎましょ♡」
「カルマあなたねぇ、単にリューとお手々つないで出かけたいだけでしょう?」
「うるさい! しゃーらっぷ!」
チェキータが苦笑する。
リュージはチラッと、仲間たちを見やる。
ひとりだけ、ぼうっとしている子がいた。
リュージはよしとうなずく。
続いてルコとバブコを見やる。
ふたりは、グッ……! と親指を立てた。
「ぱぱー。手。つないでー」
ルコがリュージの右手を掴む。
「りゅーじ。おぬしルコだけ手をつなぐ気か? わらわもつなぐのじゃっ」
バブコが左手を。
「も、もーしょうがにないなぁ。ごめん母さん。二人の面倒見ないとだから」
「むぅ……そうですね。子供を迷子にさせないのは親の役割ですもんね。残念……」
しょぼん、とカルマが肩を落とす。
「そ、そうだ! 母さん、マキナと手をつないであげてっ!」
「「えっ?」」
今まで手持ち無沙汰にしていた、マキナと、カルマの目が合う。
「ど、どうして……りゅーくん?」
「マキナも僕の娘でしょ? けど僕ほら、手が塞がってるし。だから……母さんが手をつないであげて欲しいんだ」
「けど……」
「子供の面倒を見るのは、親の役割なんでしょう? 母さんにとって、今マキナは孫なんだし。お願い……ね?」
リュージがそう言うと、カルマが下唇を噛む。
その顔には如実に、苦悩が浮かんでいた。
だがややあって……。
「わかりました。りゅーくんの、頼みなら……」
おずおず、とカルマがマキナに手を伸ばす。
マキナもまた躊躇したものの、それでも、娘であるカルマの手を握った。
リュージは内心でよしっ、と喝采をあげる。
「じゃあ……いこっか!」
「「「おー!」」」
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