表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

273/383

147.息子、母と祖母の仲を取り持つ【前編】



 初日の出を見た後。


 今日は元旦。

 この世界でも新年を祝うという行事は根付いている。


 リュージたちは母や仲間たちとともに、初詣へと赴いていた。


「りゅーくん! 迷子にならないよう……お母さんとしっかり、しっかり手をつないでおきましょうね!」


 カルマがリュージの手を、むぎゅーっと握りして言う。


「い、いや……僕は大丈夫だから」


「いーえっ! こんな人混みで迷子になったら!? 悪い人に路地裏につれていかれたら!? オチンチンランドに連れて行かれたら!?」


「どこそこ……」


「とにかくっ! りゅーくんが迷子になってしまっては大変! お母さん気が動転して街を火の海に沈めてしまうかも!」


 カルマが青い顔をしていう。


「なので一緒に手をつなぎましょ♡」


「カルマあなたねぇ、単にリューとお手々つないで出かけたいだけでしょう?」


「うるさい! しゃーらっぷ!」


 チェキータが苦笑する。


 リュージはチラッと、仲間たちを見やる。

 ひとりだけ、ぼうっとしている子がいた。

 リュージはよしとうなずく。

 続いてルコとバブコを見やる。


 ふたりは、グッ……! と親指を立てた。

「ぱぱー。手。つないでー」


 ルコがリュージの右手を掴む。


「りゅーじ。おぬしルコだけ手をつなぐ気か? わらわもつなぐのじゃっ」


 バブコが左手を。


「も、もーしょうがにないなぁ。ごめん母さん。二人の面倒見ないとだから」


「むぅ……そうですね。子供を迷子にさせないのは親の役割ですもんね。残念……」


 しょぼん、とカルマが肩を落とす。


「そ、そうだ! 母さん、マキナと手をつないであげてっ!」


「「えっ?」」


 今まで手持ち無沙汰にしていた、マキナと、カルマの目が合う。


「ど、どうして……りゅーくん?」


「マキナも僕の娘でしょ? けど僕ほら、手が塞がってるし。だから……母さんが手をつないであげて欲しいんだ」


「けど……」


「子供の面倒を見るのは、親の役割なんでしょう? 母さんにとって、今マキナは孫なんだし。お願い……ね?」


 リュージがそう言うと、カルマが下唇を噛む。


 その顔には如実に、苦悩が浮かんでいた。

 だがややあって……。


「わかりました。りゅーくんの、頼みなら……」


 おずおず、とカルマがマキナに手を伸ばす。


 マキナもまた躊躇したものの、それでも、娘であるカルマの手を握った。


 リュージは内心でよしっ、と喝采をあげる。


「じゃあ……いこっか!」


「「「おー!」」」 

書籍、コミック大好評発売中です!


どちらも気合の入った最高の本に仕上がってます!


ぜひお手にとっていただけたら幸いです!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ