139.邪竜、3人目の孫を喜べない【前編】
リュージはマキナを出産した。
否、マキナを、自身のシモベとして召喚することに成功した。
リュージの自室、ベッドの上にて。
目の前には、金髪に青い瞳の、美幼女がいる。
リュージはタンスから自分のパジャマの上着を取り出し、彼女の体にかける。
「けど……良かった」
「よかった、とは?」
リュージは心からの安堵の表情浮かべる。
「だって……マキナは母さんのお母さんだったんでしょう? あんな別れ方……悲しいよ」
親が子を殺すなんて、間違っている。
だからリュージは、マキナが復活してくれたことを、心から喜んだのだ。
「これで母さんも喜んでくれるよねっ?」
「……どうだろうか」
マキナは目を伏せて言う。
「どうして?」
「……わがはいは、カルマに嫌われているから」
「そんなことないよっ。だって自分の母親なんだよ? 嫌うわけないよ!」
母親とは、無条件で子供を愛してくれる優しい存在。
リュージはカルマを通して、母とはそう言う物だと学んでいる。
「さっ、マキナ! 母さんのところへ行こう! 母さんきっと喜ぶから!」
そう言って、リュージはマキナの手を取り、ベッドから抜け出す。
マキナの手を引きながら、リュージはカルマの部屋までやってきた。
「母さん! 僕だよ! 開けて!」
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