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137.邪竜、おかあサンタになる【前編】



 それはまだ、リュージが幼かった頃。


 5歳、冬の出来事だ。


 リュージ達はまだ、洞穴に住んでいた。


 しかし冬だというのに、洞窟内はとても暖かい。


 さもありなん。


 カルマが万物創造のスキルで使った暖房器具が、あちらこちらにある。


 さらには外気を遮断する特殊な結界が結界には張り巡らされていた。


 こうして冬だというのに温かいのである。

「おかーさーんおかーさーん!」


 幼いリュージは、台所で果物を切っているカルマの元へ向かう。


「りゅーくん、どうしたのですか~?」


 ニコニコしながら、カルマはリュージを抱っこする。


 むぎゅーっ、とカルマは息子を抱きしめる。


「あのねあのね、サンタさんって知ってるー?」


 どっきーん、とカルマの心臓が跳ねる。


「え、ええ……もちろん。りゅ、りゅーくんは、どこで知ったのかな-?」


「せんせーにおしえてもらったの!」


「あんの無駄肉エルフめ……! 黙っておいてっていったのに!」


「おかーさん?」


「ああうん、ごめんねりゅーくん」


 むぎゅむぎゅ、とカルマはリュージを抱きしめる。


 息子はどこもかしこも柔らかく、そして温かいので大好きだ。


「それでねおかーさん。サンタさんってひとがね、きょーね、ぼくに……プレゼントくれるんだって!」


「そうそう! 良い子のところにはサンタさんが来て、プレゼントを置いていってくれるんですよ~」


「わぁい! ぼくぷれぜんと……たのしみだなぁ……」


 えへへとリュージが笑う。

 まぶしい……息子の笑顔、2兆点!


「そうと決まれば今夜は早く寝ましょうね」


 するとリュージは、「えー!」と声を張り上げる。


「ぼくサンタさんに会いたいよ!」


「だ、ダメですよ。サンタさんは……その、眠っているよい子の元に来るんです。起きてたらプレゼントもらえないですよ」


「そうなの?」


「そうなんですよ~……」


 ああ、天使に嘘をつくのが心苦しい……。

「だから今日は早く寝ましょうね」

「はーい……」


 不服そうにリュージが言う。


「さっ! リンゴがむけましたよ!」


「わぁい! リンゴのうさちゃん! ぼくだーいすき!」


 ふふ……息子の好物、そして息子の好きな造形はリサーチ済みである。


 カルマはお皿にリンゴをのせて、リュージと一緒にテーブルを囲む。


「あらおいしそ。お姉さんも一つ」


 ひょいっ、とどこからか手が伸びて、リンゴをつまむ。


「せんせー!」

「ハァイ、リュー。メリークリスマス♡」


 監視者エルフ、チェキータが、リュージのとなりに出現していた。


「カルマもメリークリスマス」

「……ちっ。帰れ」


「あーらつれないのね。一緒にクリスマスを過ごそうって思ってきたのに」


「いらん。帰れ。私はりゅーくんと親子水入らずで過ごすの」


 しっし、とカルマが犬を追い払うように手を振る。


「ねぇリュー。お姉さんも一緒にいーい?」


「うん! もちろんだよ!」


 ぐ……息子がオッケーを出した。


「良いって♡」


「し、しかたないですね……ですが、邪魔しないでくださいよ!」


「わかってるわよぉ……♡」



書籍、コミック第2巻は、12月25日発売です!


どちらもかなりの自信作となってます!お手にとってくださると嬉しいです!



また、新連載はじめてます!広告下のリンクから飛べますので、よろしければぜひ!

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