表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

224/383

124.息子、恋人と海岸でいちゃつく【前編】



 カルマに化粧水を塗った翌朝。


 早朝。リュージは起き上がると、海水パンツとパーカーという格好で、建物の外にでる。


 今日も朝から良い天気だった。

 朝日が水平線からわずかに顔を覗かしている。


 リュージは海岸へやってくると、パチンッ! と指を鳴らす。


 するとリュージの目の前に、1振りの剣が出現する。


 これはリュージが愛用している剣ではない。

 船が波に飲まれたとき、荷物はあらかた波にさらわれてしまったのだ。


 ではこの剣は何かというと、リュージが作り出した剣である。


 前回、母と魂を入れ替えた事件の後。


 リュージの体の中には、母の力の一部が、まだ残っているのだ。


 そのおかげで以前よりさらに強くなっているリュージ。

 それもあって無人島調査という危険な依頼をギルドから降られたのだろう。


 リュージは剣を出すと、素振りをし出す。

 これは彼の日課だ。

 リュージが冒険者として登録する前から、朝の素振りを欠かしたことはなかった。


 無人島に漂流してから数日は、そんな余裕はなく、日課をサボっていた。


 しかしここ最近、ここでの暮らしに慣れたリュージは、また日課のトレーニングを再開したのである。


 朝日が出ていないのに、少し動いただけで汗みずくになる。


 それでもリュージは剣を振り続ける。

 ややあって、トレーニングを終えたリュージは、そのまま海水につかる。


「ふぅ……きもちい~……」


 リュージは仰向けなって海水に浮く。

 体が水で冷やされ、体温が徐々に下がっていく。


 疲労とともに、体のほてりも、この海に溶けていっている感覚だ。


 そんなふうにしばしぷかぷか浮いていたそのときだ。


「りゅーじくーんっ!!!!」


 誰かが慌てて、こちらにかけてくるではないか。


「りゅーじくーん!!!!」


 やってきたのは恋人の兎獣人ワーラビット、シーラだった。


 彼女は薄着のママ、ばしゃばしゃとこちらにやってくる。

 どうしたんだろうか……?


 とそこで気付いた。

 シーラがただならぬ様子だった。


「りゅーじくん! 今助け……ぶべっ!」


 波に足を取られ、シーラが顔から海水に突っ込む。


 リュージは慌てて、恋人の元へゆき、彼女を助ける。


「けほっこほっ! ぺぺっ。く、口に海水が~……塩辛いのですぅ~……」


 リュージとシーラは波打ち際へと上がる。

 シーラは砂浜に腰を下ろす。


「待っててね」


 そう言って、リュージは指ぱっちんをして、水の入ったボトルを出す。


「はいどうぞ」

「わぁ! すごい! りゅーじくんカルマさんみたいなのですー!」


 にぱーっと笑うシーラ。


「ありがとう。けど母さんみたいにいろいろ作れないし、まだまだだよ」


「でもでもすごい……けほこほ」

「いいから早くお水飲んで」


 リュージが苦笑しながら言う。

 シーラは、こくこく……と水を飲み、ほっと一息つく。


「助かったのです~……」

「ごめんねシーラ。何か勘違いしちゃった?」


 そうでなければ、シーラが服のまま、海なんて入ってこないだろう。


「えと……りゅーじくんが海で溺れちゃったのかなって」

 

「ああ……やっぱり。ごめんね、涼んでただけなんだ」


「そうなんだぁ。しーらおっちょこちょいだったのです。ごめんね?」


「ううん。こっちこそごめんね。誤解させてびしょぬれにさせちゃって」


 リュージはタオルを作って、シーラに手渡す。


「こんなのすぐに乾いちゃうのです」

「じゃあ……乾くまでもうちょっとここにいようか」


 リュージの提案に、シーラが耳をぴーんと立てる。

 嬉しそうに笑うと、こくりとうなずくのだった。

書籍、コミックス好評発売中です!


次巻が出せるかどうかは売り上げ次第となってます。

売れないと続きが出せないんです……


なのでどうか!続刊継続のため、皆様にご協力をお願いしたいです!


少しでも長くリュージくんたちの物語を続けたいです!

なにとぞ、お力添えのほど、よろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ