123.邪竜、息子に化粧水を塗ってもらう【中編】
夜中のリビングにて。
ひょんなことから、母の素肌に、化粧水を塗ることになった。
「ささっりゅーくんこれ使って♡」
ぱっちんっ! とカルマが指を鳴らし、スキルでイスを作る。
カルマはいそいそと髪留めを作り、自身の長い髪を1本にまとめる。
そして肩にかけて、前に垂らす。
「これでお母さんの背中を塗りやすくなったでしょう! さぁりゅーくん! お母さんと一緒にれっつとぎゃあざー!」
……母の発現は、毎回ちょっと何を言ってるのかわからない。
今回も輪をかけて母の発言が意味不明だった。何を言ってるんだろうか……。
「さぁさぁりゅーくん♪ 早く~♪ おーはーやーくぅ~~~~♪」
母が楽しそうしている。
リュージはそれが嬉しかった。
……まあ、恥ずかしいけど、周り誰もいないし……。
「はいはい。じゃあ失礼しますね」
リュージは化粧水を手に取る。
ぺっぺっ、と手のひらにそれを出す。
……母の真っ白な背中に、【女性】は感じない。
赤ん坊の頃から、母の裸身は見続けてきたからだ。
シミ一つ無い、つややかな肌に、リュージはため息をもらす。
どちらかというと芸術品でも見ているような心持ちになった。
「じゃあ母さん。いくよ?」
「はいっ! りゅーくん来て来てっ。もうお母さんをりゅーくんの液まみれにしてください!」
「はいはい。変なこと言わないでねー」
「あーん。りゅーくんのツッコミが雑です……しかーし! それもまた良いかと!」
苦笑しながら、リュージは母の背中にぺたりと触れる。
「ひゃっ……!」
カルマがびくーんっ! と背筋を伸ばす。
「あ、ごめん。冷たかったよね?」
「い、いいえ。冷たさはそんなに……」
「? じゃあなに?」
「それは……」
もにょもにょ、とカルマが言いよどむ。
「よくわからないけど続けるね」
「ま、待って……ひゃぅう!」
リュージが母の背に触れると、カルマがびくーんっ! とまた体を過剰に反応させる。
リュージは気にせず母の背中に、化粧水を塗りたくっていく。
「はぅっ♡」「ひゃんっ!」「ああっ!」
と母が珍妙な声を出していた。
何だろう……?
痛がってるわけではなさそうではある。
「母さんだいじょうぶ?」
「はぁ……はぁ……らいじょーぶ……れす」
だいじょうぶそうに見えなかった。
息も絶え絶えみたいな感じになっている。
「ほ、本当にだいじょうぶなの?」
「ええ……だいじょうぶです。思いのほか気持ちよくって……」
リュージは「そうなんだ!」と上機嫌になる。
母が気持ちが良いといってくれた。
いつもお世話になっているリュージは、もっと母に気持ちよくなってもらいたいと思った。
「よしっ! 僕張り切っちゃうね!」
リュージは手に化粧品をドバドバと出す。
「ままっ、待ってりゅーくん! ひぃんっ! ま、まずいの……ま、ひゃぅうんっ」
「この辺も? ここら辺もだよね?」
リュージは嬉しかった。
いつも母には与えてもらってばかりだったから。
こうして母に孝行できてることが、嬉しいのである。
母はその後も気持ちよさそうな声を出していた。
リュージは一生懸命に、母の肌に化粧水をすり込む。
母はくねくねと動いたり、たまにびくんと背中を反らしたりしていたけど……なんなんだろうか?
「りゅ、りゅーくん……意外とどSなのですね……」
ふうふうと肩で息をしながらカルマが言う。
「どえす?」
「男らしくて格好いいという意味です!」
母に褒められて、リュージは気分が高揚した。
男らしい姿。
リュージのあこがれである。
自分は昔から、ちょっと女顔なところがあった。
体も細く、ともすれば女の子に間違われるほど。
……年頃男子であるリュージにとって、女子と間違われるのはいやだった。
中性的な見た目がコンプレックスだったリュージ。
だからこそ、男らしいくて格好いいと言われ、嬉しかったのだ。
「ありがとう母さん!」
「えっ? え……っと、りゅーくん。あのね……」
母が申し訳なさそうにしている。
だがリュージはお構いなく言う。
「僕っ、どえすを目指すよ! もっともっと頑張ってどえすになるからね!」
「うう……息子に間違ったことおしえちゃったよぅ……けどけどっ、男らしいりゅーくんも格好いいんだ!」
えへへ~♡ と母がなにやらくねくねしていた。
「もっとしっかり化粧水ぬってあげるね!」
「はいっ! お願いします! ……ひゃぅううんっ」
母がまた可愛い声を上げる。
リュージは懸命に、母の期待に応えるよう、しっかり化粧水をすり込む。
一分の隙まもなく、丁寧に丁寧に、母の背中に塗りたくった。
数十分後。
母は目に♡をうかべ、夢見心地で「天国です~……」とつぶやくのだった。
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