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14.邪竜、ダンジョンボスを消し炭にする【後編】

前後編の後編です!



 家でリュージの帰りを、信じて待っていたカルマ。


 夕方、息子がダンジョン探索から戻ってくる。


 その息子の衣服は……ぼろぼろだった。


「ただいま、母さんっ!」


「ただいまなのですっ!」


 息子たちが元気よくあいさつをする。


「…………」


「あらリュー。お帰り。ずいぶんぼろぼろじゃない」


 硬直するカルマの後ろから、エルフがひょいっと顔をのぞかせる。


「あっ!」


 リュージはエルフを見て、表情を明るくする。


「チェキータさんっ! こんばんはっ!」


 リュージはエルフ……チェキータを見てあいさつする。


「ハァイ、リュー。ところでどうしたのその格好?」


 チェキータが尋ねると、リュージは苦笑いしながら答える。


「今日さ、ふたりでダンジョンもぐってたんだ。そしたら偶然、ボス部屋を見つけたんだ」


「まぁ。ダンジョンボスの部屋を見つけたの」


 ダンジョンには主とも言える、ボスモンスターが存在する。


 その部屋は隠されていて、見つけるのは難しい。


「それでシーラさんと、ちょっと挑んでみようかってなったんだ」


「あらあら。それはちょっと無謀ねぇ」


 ダンジョンボスは強い。


 レベルが二桁であるふたりでも、現状、かなう相手ではない。


「でも、でもでも、やってみないとわからないのですっ!」


 シーラが言うと、リュージはうなずく。


「でもまったくだめでした。ケガする前に

逃げてきました」

 

 リュージがことの顛末を話し終える。


 ちら、っと息子がカルマを見やる。


「けっこうあちこち汚れてるけど、大丈夫。ケガも……まあちょっと転んですりむいたくらいだし、平気だよ!」


 笑顔で言うリュージに、カルマは。


 カルマは……。


「ふ、」

「ふ?」

「ふっっざけんなぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


 カルマは大声で叫ぶと、「変身!」その姿を、人間から邪竜へとかえる。


「か、母さん!?」


【息子をいじめやがってぇええええええええええ! ぶっ殺すーーーーー!!!】


 カルマは叫ぶと、スキル、【最上級転移ハイパー・テレポーテーション】を発動。


 行きたい場所へ瞬時に飛べるスキルを使って、カルマはダンジョンへ向かう。


 ボス部屋まで一瞬でテレポートしてきたカルマ。


「ギギギギ……?」


 そこにいたのは、巨大なカブトムシだ。


 ダイヤモンドの殻につつまれたボスモンスター、名前を【金剛カブト】という。


 討伐難易度Cという、今のリュージたちではまったく歯の立たない相手だ。


 モンスターの特徴は、全身を覆う金剛石の殻。


 固い鎧に守られているため、ダメージが本体に届かないのである。


【てめえか息子を傷物にした大罪人は……】


 カルマの怒りは、限界値を超えていた。


【私の超超超! 大切な存在を傷つけた貴様、万死に値する! 死刑! ギルティ!】


 カルマは魔法を発動させる。


 最上級火属性魔法、【煉獄業火バースト・ストリーム


 ごぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!



 と、部屋が一瞬にして、煉獄の炎で埋め尽くされる。


 圧倒的な熱量。


 地面さえもどろどろに溶けていく。


 その場にいた生物、非生物かかわらず、すべてを消し炭に変えた。


 当然、カブトもひとたまりもない。


 あっという間に灰になっても、カルマの怒りは留まらなかった。


【あああああああ! 私はなんて愚かなことを!! 私がついていかなかったせいで! りゅー君が! マイ・ラブリー・ウルトラ天使のりゅー君が! ケガを! ケガを負ってしまったぁああああああああああ!!!!】


 ごぁああああ!!! とカルマは叫びながら、炎をはく。


 もうおまえがボスだろ……とそれを見た冒険者は誰もが思うだろう。


【あああああ! 失敗した失敗したぁああああ! 私が目を離さなければ! りゅー君はこんなつらい目にあわなくってすんだのに! 私のばかぁあああああああ!!】


 やがてボス部屋を炎の海に変え、その炎がもやすものをなくして消えた後。


 カルマは即座にテレポートを使って、家に戻る。


「あ、母さん。お帰り」


 風呂にでも入ったのだろう、リュージがきれいな身体で、カルマを出迎える。


「りゅーーーーーーーくん!!!」


 ばびゅんっ! とカルマがリュージにダイブして、そのままぎゅーっと抱擁する。


「ああああありゅー君りゅー君! ごめんねええええええ!!!」


 カルマは抱きしめたまま、


「すぐに回復魔法かけるから!」


 と言って、数々の回復魔法をかける。


「【死者蘇生レイズデッド】!【超回復マスター・エイド】!【超常態異常回復マスター・リカバー】!【全体超回復マス・マスター・ヒール】!【女神の祝福ゴッデス・ブレッシング】!【癒神の祝福ゴッド・ブレッシング】!」


 超級の光魔法を、次から次へと、その身に受けるリュージ。


 しかしケガも何もしてないリュージにとっては、それは不発に終わるだけだ。


「か、母さん。だいじょうぶだって」


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛だめだだめだこんなんじゃりゅー君の大けがを直せないよぉ!」


 うがー! と目をぐるぐるさせ、動揺しながらカルマが言う。


「け、ケガっ? 僕ケガなんてしてないよ?」


 困惑する息子に、母は「いいえ!」と否定する。


「心に大けがを負ってしまった! これは私のミスだ! お母さんがついていかなかったばかりに……お母さん失格だぁああああああああ!!!」


 うええええええええん! とカルマが子供のように大泣きする。


 先ほどまでの余裕なんて、見る影もなかった。


「りゅー君! お母さん、決めましたよ!」


 なき終えたカルマが、決然と言う。


「やっぱり危ないです。お母さん、明日からちゃんと、冒険について行きますからね!」


 ……かくして邪竜、カルマアビスは。


 成長したはずだったのに、息子がちょっとケガしただけでも、元の過保護っぷりを取り戻したのだ。


 息子はそれを聞いて、叫ぶ。


「冒険に、ついてこないでお母さん!!」

お疲れ様です!


そんな感じで2章スタートです。


2章も相変わらずカルマが暴走してそれに困る息子の図は変わりません。

カルマが成長と退化を繰り返す様を、そして息子が頑張る姿を、見守っていただけるも嬉しいです。


2章も頑張りますので、よろしければしたの評価ボタンを押していただけると嬉しいです!励みになります!


ではまた!

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