モノローグ&0.初めの物語
超能力を持つもの、持たないもの、途中から持つものによるラブコメディーです。
〈モノローグ〉
「皆さん、入学おめでとうございます。この春の晴れた日に皆さんの素晴らしい学園生活がこれから始まります。初等部・中等部と上がってきた子は代り映えしないかもしれません。それでも新しいスタートが始まります。それでは、この『国立蔵園総合学園 高等部』で素晴らしい高校生活を送ってください。以上で私の話を終わります。」
と、ニコニコ笑顔の校長先生の話が終わり、始業式が終わった。
この世界に生きる人間の全人口の約0.003%が超能力を持つもの・動物の血をひくもの(猿以外)→『動物又の人間』・妖怪の末栄であるもの・神の血をひくもの・普通の人間が存在する。寿命は〔普通の人間であるもの<動物の血をひくもの(猿以外)<超能力を持つもの<妖怪の血をひくもの<神の血をひくもの〕の順に長くなってゆくが、まれに[普通の人間]から[超能力者]、 [普通の人間]から[動物又の人間]、…など突然変異でなる者もいる。
そして、超能力を持つ者の能力は様々、火・水・風・土・金属・変身・テレポートetc...能力は様々。
そして、国から世界各国に超能力者の学校設立が法で定められた。
これから起こるのは、能力者の学校の日本にある、国立蔵園総合学園の高等部にある生徒会の人たちが繰り広げる3つの恋愛物語であり、笑いあり、感動あり、恋愛ありの物語・・・である。
0.初めの物語
「あれ?皇どこ行った?あれほど待っててって言ったのにー!」
始業式が終わった体育館の裏庭で、一人誰かを探す女子高生が一人。
「なぁ。あんた生徒会長の夏奈天使だろ?俺と勝負してくんね?」と一人の1年生の男子生徒が、女子生徒にそう話しかけた。
「ごめんね。今、人を探しててそれどころじゃないんだ。」
「てめぇ!なめやがって!」と女子生徒が無視した様に見えた男子生徒は、拳に雷をまといながら夏奈に襲い掛かった。そう彼は、雷の能力者だったのだ。普通は能力者に能力を持たない人間が勝てるはずはない。しかし、夏奈は能力も使わず、素手で止めて地面に男子生徒を叩きつけた。
「筋はいいかもしれない、けど能力を使うほどじゃない。もうちょっと強くなってからまた来なさい。いつでも相手してあげるから。で、名前は?」と、夏奈天使は仰向けで倒れている男子生徒に声をかけた。
「んっ!俺は・・・尾田拓也・・・」そういって尾田は、苦い顔をしてその場に座った。
「尾田くんにはいずれ生徒会に入ってほしい人材ね。............そうだ!私、皇探してたんだった!私、人待たせてるから!じゃ!」
といい、夏奈はその場を走り去りまた人を探し出した。
一方その頃、探されている狐九蔵皇斗は、グラウンドのそばにあるベンチで時間つぶしに本を読んでいたが、いつの間にか開いたまま本を顔に載せ、仰向けで寝てしまっていた。
そこへ、迷子になっていた、好山咲真が春の寒空の下で寝ている狐九蔵を見つけ、恐る恐る道を聞こうとしていた。
「あの~、すみません・・・って寝てるし・・・」
少し屈んで眺めていたら、自分のカバンの中に膝掛けがあるのを思い出した。
(あっ!そうだ!膝掛けがあったなぁ。)
そう思いながら狐九蔵に膝掛けを布団のようにかけた。
(上級生なのかな・・・何故にここで寝ているのだろう?・・・)
と、考えていたその時、狐九蔵の顔に乗っていた本が風で落ちそうになった。
「あっ!」
好山が落ちそうになった本を拾い、渡そうとして顔を上げた時…。「あっっ!」
顔が近くに来ていて、好山は綺麗で整った美形な狐九蔵の寝顔に何故かドキドキしてしまった。(綺麗な顔だな・・・)と見とれ、じっとその顔を見ていると狐九蔵が目を覚ました。
「ん~?」
「すっすっすみません!えっえーと・・・あのーー本返します!」
と、焦りながら好山が先ほど拾った本を返した後、ふと迷子になっていたことを思い出し、「すみません。普通科の1年の校舎ってどこですか?」と聞くと、静かにきれいな声で、「普通科は、向こうの校舎で、1年生は1階だ・・・」
「あっありがとうございますっ!しっ失礼しました~!!」と、好山は顔を赤らめながらそそくさと逃げるようにして、普通科校舎に向かって走って行った。
「あぁー!いたー皇!」と、狐九蔵をずっと探していた夏奈が叫びながら走ってきた。
「ん?終わった?・・・えぇ~と何?」と、とぼけたように言うと、夏奈が怒りながら狐九蔵の頭を思いっきり上からパンチした。
「もう!!どうして体育館の裏庭にいないの!?居てって言ったじゃん!」
「うーん。そうなんだけど・・・裏庭ってこの時間、日向が無くて寒いんだよ・・・」
「なら連絡ぐらい入れておいてよ、もう!めちゃくちゃ探したのよ!たくっ・・・まぁ、行くか!」
と彼らの腕の生徒会役員の腕章を日の光でで光らせながら、業務に戻るのであった。
これが、物語の前兆である。ここから彼ら・彼女らは恋のストーリーが始まるのである。
彼ら彼女らの恋の行方をみてあげてください。