02.異世界召喚ならぬ転移!
美野里は気がつくとほこり臭い本を抱えたまま地面に立っていた。
あれ、なんで私ここに立ってるの?
地面を見る。
「ウーン。」
もう一度見るがそこには地面があった。
おかしい。
今度は本を抱えたまま上を見上げた。
きれいな青空が広がっていた。
眩しい。
思わず手を目の上に翳した。
周囲を見てみるとそこには生い茂った森が広がっていた。
ウーン。
どう見ても自分が立っているのは森に囲まれた広い空き地だ。
学校はない。
グランドもない。
自分を見てみるとセーラ服を着て、さっき本棚から手に取った埃だらけの本を抱えて立っていた。
なんだかわけがわからなくなり、そのままぼぅーと突っ立ていると何やら周囲がざわざわしてブワッと何かに囲まれた。
それは唸り声をあげていた。
背中に冷や汗が流れてきた。
あまりのことに恐怖でへたり込みそうだ。
チラチラと唸り声をあげているものをよく見るとそれは涎をダラダラと垂らし犬たちだ。
ヤバイ、狂犬病・・・!
なんでこんなことになってるんだろ。
ははは・・・。
夢遊病。
立ったまま眠ってるとかかなぁ・・・。
明後日のほうに思考を飛ばしていると目の前にいる一際大きい犬と目が合った。
相手は唸り声をさらに上げ飛びかかって来た。
思わず持っていた本を掲げて頭をイヤ顔を庇った?
何やってるの自分。
野犬にめちゃくちゃに噛みつかれて死ぬ己の姿が思い浮かんだと同時に死にたくないと強く願った。
今度は周囲が真っ白に光った。
意識が戻ると更地に自分が立っていた。
持っていたはずの本が何故か無くなっていて全身ガタガタいって立っていられなかった。
そのまましゃがみ込んで地面に蹲った。
もうダメ!
美野里の意識はそこで途絶えた。