始まりの音
天龍高校前駅行き特急電車に乗った
青也と瞬矢の周りには二人と同じ制服を着た
少年少女たちで溢れかえっている。
笑顔で会話をしている者もいれば
憂鬱そうに窓から景色を眺めている者がいる。
少し気まずそうに青也が喋りだす。
「そういえば自分の異能はどんなだと思う?」
この世界では異能と呼ばれる
超能力のような力が存在している。
炎や雷などを操る異能や瞬間移動など
腕を鉄のように硬くする異能など様々である。
異能については解明されていない部分が
まだ多くあるが、異能を使う本人の性格に
強く影響することが知られている。
青也の質問に
「んー、やっぱり脚力強化とかかなぁ?」
首をかしげながら答えた瞬矢はすぐに
「青也は?」と質問を返す。
青也たちが、なぜ今このやりとりを
しているのかと言うと
天龍高校に通う生徒だけではなく
高校入学と同時に異能開放の儀式を行うことが
この国でいう成人式なのである。
この日を楽しみにしてきた若者は沢山いるだろう
もちろん青也もその中の一人であり、
今日まで何度も異能について考えてきた。
「俺は、何かの召喚士になりたいな。」
青也はさっきまでの気まずい空気が
感じられない笑顔でそう答える。
その答えに瞬矢はいたずらな顔で
「エロそうなサキュバスとか?」と言った直後
青也の目が鋭くなったのに気づき苦笑いを浮かべると
また無言になる二人であった。