6/29
始まりの音
「おい、見てみろよ。」
「何あの人、気色悪い。」
「あぁはなりたくねーなー。」
青也と瞬矢が駅前に着くと
その一カ所だけ不自然と人が近づかずに
ソレの横を通り過ぎる人たちは皆そろって
怪訝な顔つきをしていた。
するとソレを見つけた瞬矢が
「おわ、何だアイツ!?」と声を上げたので
青也もソレを見てみると、そこには
全身を紫の布で出来たような衣装に身を包んだ
人なのだろうが頭まで隠れているために
性別はわからない者が佇んでいた。
その者は泥やヨゴレで汚れており
周りには服のようなものが入れられた着替えだろうか、ゴミ袋が何個も置いてあり
その者がホームレスだということは
誰が見てもわかる見た目をしていた。
「ホームレスか、よくいるだろうさ。」
「僕らには関係ない。早く行こう。」
冷たく聞こえるかもしれないが、
関わったところで自分たちにはどうしようもないことを
瞬矢も感じているようで
天龍高校前駅に行く電車に二人は会話の無いまま
乗ったのであった。