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始まりの音
『天龍高校』へは電車に乗って
天龍高校前駅へと行かねばならないため
青也も自宅の最寄り駅へと歩いていく。
その途中であった
「おーい、チル〜」
青也の後ろから声が聞こえた。
振り返ると、そこには同じ制服を着た
銀髪の少年がこちらに小走りで近づいてきていた。
「おはよう。チル!」
「あぁ、おはよう。しゅんや。」
青也に声をかけたのは幼馴染みの
『疾三瞬矢』
容姿は普通だが小さい頃から足が速い。
ただ足が速いだけで小学校では
女子からモテていた記憶が青也にはある。
「一緒に学校に行こうぜ〜!」
青也の肩を抱きながら笑顔でそういう瞬矢に
「それは構わないが、もういいかげんに俺のことをチルって呼ぶなよ。」
少し不機嫌そうに青也は言うが、
「え〜、じゃあ何て呼ぶのよ?」と青也の
不機嫌そうな表情など意に介さず喋る瞬矢に
「青也とでも呼べばいいだろう?」
今度は、あきれ顔になり喋る青也。
「へへっわかったよー。」と青也の気持ちが
伝わったのかは不明だが
その返事を聞き仲良く二人の少年は
入学式が始まる学校へと向かっていった。