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始まりの音
制服に着替えが終わった青也が階段を下りた先の部屋に入る。
すると母が食器を洗いながら青也に振り向き、
「おはよう!」
「おや、似合ってるじゃないかい、『天龍高校』の制服!」
と笑顔で青也に喋り、また食器に向き直る。
青也達、ここら辺の中学を卒業した少年達は
今日から『天龍高校』に入学する。
天龍高校とは、
青也たちが住む国である『星龍国』の
首都にある、この国で一番有名な高校である。
そこの制服を着て母に褒められた
青也は少し照れくさいと感じながらも返事をする。
「おはよう、母さん。」
「そう?少しサイズ大きくない?」
「何言ってんだい、すぐに大きくなるからそのくらいでいいんだよ。」
「とっととご飯食べちゃいなさい。」
こっちを見もせずに言う母にやれやれと思いながら
テーブルの上に並んだ朝ごはんの前に座る青也。
「いただきます!」
元気よく言うと、
今日から始まる高校生活のことを考えながら
母の作った朝ごはんを食べ始めるのであった。