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静かなる森の中で
20☓☓年 二人の男は太陽がまだ昇りきらない時刻
いつからそこにいたのか、
周りを見渡しても生い茂る木々ばかりしかない
広い森のひらけた場所で
ただじっと並んで仰向けに寝そべっている。
ふいに 青い装束に身を包んだ、眼帯の男が隣の
グレーのスーツ姿の男の方に顔を向ける。
「なぁ、響」
グレーのスーツの男の名前を呼んだのだろう。
しかし何の返事も返って来ない
寝たのかと思い眼帯の男が身体を起こすと、
「どうした静夜?」
響と呼ばれた男がゆっくり目を開けて答えた。
「何だよ、寝たかと思ったじゃんか。」
静夜と呼ばれた男は爽やかな笑顔を浮かべる。
しかし、すぐに静夜の顔が真剣な顔つきになり
「そんなことより、直に7時になる。みんなのところに戻ろう。」
「決着を着けに。」
静夜と呼ばれた男は真っすぐに、しかし少しの禍々しさを放つ
朱い瞳に眼を変えて響に語りかけた。
響と呼ばれた男は、静夜を見つめ返す。
そして、そっと口を開ける
「そうだな。みんなの未来のために《カワーズ》を。」
二人の周囲に風が吹く。
迫る嵐の襲来を予感させる風が