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それでも俺は哭き続ける  作者: しゃぶしゃぶ
二章 広樹/裕也
15/23

バレンタインデー特別話 リア充爆発しろ

一部修正予定です。

あと、この話は見なくても本編には支障は出ません。興味のない方はとばして下さい。


2/18 本来の修正内容とは大幅にずれましたが(作業量故に面倒に(ry)、修正しました。

 私は井藤杏奈。

 そこら辺にごろごろ転がっている石ころのように、どこにでもいる普通の高校生。


 だから、私は恋をしている。自論だけれど、人生の転換期である思春期を迎えた人達が織り成す「青春」という人生の晴れ舞台は、高校生である私達の権利であって、本分でも義務でもある、って私は思っている。随分と社会科チックになってしまったけれど。


 ともかく、恋をして当たり前の年頃。そして、その恋はこの前、遥かな年月と様々な過程を経て実った。


 宮坂広斗くん。

 高校から別々の学校になってしまったけれど、幼稚園の頃から近所で、仲良しで、幼馴染だった。広斗くんは小さい頃からスポーツが得意で顔立ちもイケメン、周囲の注目の的だった。私も最初はそんな周囲の一部だったんだけれど、気付いた時にはきっかけもなく仲良しになっていた。その頃にはもう想いを寄せていたのかもしれない。イケメンな顔が恋愛補正で神がかって見えたり、サッカー部の居残り練習を一人で黙々とこなしている姿にやっぱりときめいたり、少し頭の悪い部分でさえ愛着が湧いちゃったり。言葉にすると安っぽく聞こえるかもしれないけれど、それくらい大好きだ。


 さて。ついさっき「様々な過程」と言ったけれど、もしかして「少女漫画みたいな順風満帆な道程」って解釈しちゃったりしてないかな。


 そんな訳ないじゃん。


 もっと、当人達の傷付く、泥臭い出来事だった。いろんな物を犠牲にして初めて得られた恋だった。


 今回は、そんな話をしようと思う。


 罪悪感とか、友情とか、ジレンマとか、その他諸々が渦巻く、血で血を洗う戦いの話を。







 ◆◆◆


 中学校二年生。あまり特別視されることのない、ただの通過点に過ぎない凡庸なる学年。校長先生とかの話で「初の後輩が出来る」なんて適当にあしらわれる学年。


 でも私にとっては、今後の生活状態に大きく関わる運命の学年。


(今年、絶対広斗くんに告ってやる!)


 そう、意気込んでいたからだ。


 きっかけは初詣。とある事情で縁結びの神社に家族で参拝し、そこで御神籤(おみくじ)を引いたら、なんと大吉。しかも恋愛運の部分がベタ褒め。実際、その御神籤結果を見てからというもの、学年末行事で係が一緒になったり、その係で多めの荷物を一緒に運んでいるときに私が(つまづ)いて、それを広斗くんが地面に突っ伏す前に支えてくれたんだけど、結果論として広斗くんに抱きかかえられているような体勢になったり。その他にも色々なハプニング(嬉しい方の)があって今年絶好調な私は、このラッキーが続くうちにと腹を(くく)ったのだ。


 かくして、始業式の朝を清々しく迎えた私は、少し浮き足立つ気持ちで歯ブラシとコップに手を伸ばした。







 ◆◆◆


 いつもより三十分近く早く身支度を調えた私は、その空いた三十分を待つことなく家を飛び出した。


(今年は、攻めて攻めて攻めまくった方が良いらしいからね!)


 鼻歌を歌いながら、春の温かさや匂いを感じさせる通学路を遡り、歩くことものの二十秒。そして、その先の家の呼び鈴を鳴らした。程なくして「はぁい」と柔和な女性の声が辺りに響き、目の前のドアがこちら側に緩慢に開かれる。


「あら、杏奈ちゃん?」

「朝早くにすみません、広斗くんと一緒に行こうと思って…」


 そう、目的は“一緒に登校すること”だ。

 だがその女性、宮坂咲(みやさかさき)さん(広斗くんの姉)は、私のその提案に眉間を抑えた。

 どういう意味だろう?


「珍しいね。でもごめんね、あいつ朝に弱いからなぁ…」


 どうやら、まだ広斗くんは起きていないらしい。咲さんの口振りからして、多分朝寝坊は日常茶飯事なのだろう。


「あいつ、叩き起こしてこようか?」


 なんとも物騒な物言い。姉御肌が(にじ)み出ている気がする。昔っからそうだったなぁ、と過去に思いを寄せながらだったからか、無意識に空返事を試みる。


「あ、お願いしま―――」


 って待って! と慌てて口を両手で塞ぐ。

 この状況下で、私がすべきこと。

 こんなチャンスを、みすみす私は水に流してしまう所だったのかと背中を嫌な汗が伝う。


(攻めるんだ、今年は!)


 今日の朝に誓ったばかりのフレーズを反芻(はんすう)しながら、言葉を紡いだ。


「いや、起こしに行きます! 家上がっても大丈夫ですか?」

「うん、いいけど。何だか積極的だねぇ、杏奈ちゃん」

「いろいろあったので! では、お邪魔します!」


 少し咲さんに茶化された。この人は、私が広斗くんを意中の相手に留めている事を知っているので、これまた昔からよくからかわれた。

 でも、今はそれすら楽しい。


 全ては恋のため、全ては朝チュンのため!







 ◆◆◆


 さあお待ちかね、広斗くんの寝顔拝見アンドレッツ朝チュン!


「お邪魔しまーす…」


 さっきの挨拶の五割くらいの音量で断りを入れて広斗くんの部屋のドアを開ける。その時に「キイィ…」と古びた音を立ててしまい、「起こしちゃったかな?」と身をビクッと弾ませたけれど、ベッドの上で寝息を立てつつ横向きになっている広斗くんの姿を見て、安堵の溜め息をはき出した。


「まずは寝顔~…」


 つま先立ちで足音を立てず近づく。幸い、こちら側へ横向きに寝転がっていて、特にアクシデントも苦労も無く寝顔を拝められる圏内に入る事が出来た。


 若干の背徳感と罪悪感を胸に、覗く。


(相変わらず格好いいな〜!)


 所々がランダムに跳ねている爽やかな頭髪に、凛々しく整った眉、少し吊り上がったシャープな目、高く伸びた鼻、そのどれもと調和する完璧な唇、それら全てを収める漢らしいゴツゴツした輪郭、布団からチラチラと覗くがっしりとした肩、体躯。男性を含めた十人中でさえ十人が振り向くイケメンだ。昔から寝顔は何度か見た事あるけど、その度にどんどん子どもの可愛らしさが格好良さに置き換わっている気がする。二時間位見ておきたい。全然飽きが来ない。


 でも、そんな事を時間が許す筈もなく。


(うわっ、もう十五分も経ってる!?)


 流石に遅刻する訳にもいかない。広斗くんの体を軽く揺する。ついでに筋肉を堪能。


「んぁ…あと五分…」

「ダメだよ広斗くん。遅刻しちゃうって」

「待ってくれお袋…って、うん?」


 私お袋じゃないよ、ってツッコむ間も無く何か違和感を感じたのか、まだ眠そうな目をふるふると震わせ、やおら瞼を開いた。


「わあああああああ!?」

「ふふっ、おはよう、広斗くん」


 案の定な反応を示す広斗くん。

 正直、私を平静を装って挨拶をしたけれど、内心で心臓バクバクしてる。


「な、何で!? 何で杏奈がいきなり俺の部屋に!?」

「へへへ~朝チュンしに来た~」

「だから何でや!?」


 いつもは使わない関西弁まで駆使して驚愕を表現する広斗くん、ちょっとこれで放置してみたい。


 でも私も新学期早々遅刻は勘弁願いたいところなので。


「そんな事より、遅刻しちゃうよ? ほら早く!」

「へ、遅刻…?」


 広斗くんは、問いの答えが返らず若干肩透かしを喰らわされたような素っ頓狂な顔でそう反芻すると、側に置いてあった置き時計を震えながら手に取り、透き通るように綺麗な藍色の瞳を惜しげも無くさらしながら長針と短針を交互に穴が開く程凝視する。


「わあああああああ!?」


 本日二度目の絶叫に、そろそろお隣さんとか近所から苦情か何か来そうだな、なんて思って、私は苦笑した。


「あと十分で支度しろって!? くそっ!!」

「通学路走れば支度でもっとゆっくりできるから、あと十五分くらいじゃない?」

「とにかく急がないとやべぇな、杏奈は先に行ってろ!」


 ……しまった。十五分くらい広斗くんを見続けていたのがこんな所で響いてくるとは思わなかった。何か良い返し方は―――


(!!)


 時間にして一秒未満。今年一番のスピードで思考をフル回転させ、一つの結論に辿り着く。

 そうだ、攻めるんじゃなかったのか、今年は。今年こそは。


 まるで脊髄反射のように、簡単に言葉が出る。


「手伝うよ」

「へ?」

「だから、支度、手伝わせてって。私広斗くんの鞄の荷物やっとくから」


 広斗くんが唖然呆然みたいな顔をして私を見ていた。だがそれでもその視線は、私の胸を高鳴らせるには十分なもので。


「ほ、ほら広斗くんも。その間に歯磨いて顔洗って!」

「お、おう」


 そのことに少し気恥ずかしさを覚えて、広斗くんを急かして誤魔化す。

 急いで洗面台に行こうと私に向けた背中を、こんな慌ただしい状況じゃなかったらな、と少々名残惜しさに駆られながら見つめ続けた。


 部屋にはぽつん、と私一人だけが(たたず)んでいる。


「さて、準備してあげよっか」


 誰にでもなくそうぼやいて、広斗くんの鞄に手をかける。


「告白、ねぇ」


 不意に、その単語が頭を小突く。

 そうだ、私は今年、今まで幼馴染として仲良くしてきた広斗くんに、告白するんだ。確かに失敗するかも知れない、今までのキラキラとした楽しい思い出がまるで恥ずかしい夢のように、全て気まずいものとして風化してしまうかも知れない。それは怖い。広斗くんと距離を置く関係になるのは嫌だ。


 けど、それだけに成功したときの喜びはひとしおだ。今よりもっと親密になって、その、キスとかもして、結婚もして、子どもも出来て、その子どもと広斗くんの帰りを家でご飯を作りながら待つ、みたいな幸せ極まる暮らしをする。そんな未来予想図に、顔の綻びを直すことが出来ない。端から見れば、多分今の私はとても気持ち悪い奴なんだろう。

 とにかく、そんな幸せを手に入れられるかどうかの人生の大博打、賭けない訳にはいかない。失敗なんて恐れている場合じゃない。


 それに、こんなに好きなのに失敗を恐がって訊かないまま、ただの幼馴染として、なあなあでごまかして、曖昧なまま終わってしまうのは、もっと嫌だ。そうやって終わって、その後広斗くんは私じゃない他の誰かと恋に落ちて、その私じゃない誰かと生涯添い遂げた、なんて後日談を聞かされるような立場に甘んじてしまうのは更に嫌だ。


 でもやっぱり、告白で緊張しない人なんていない。少なからず私だって緊張するだろうし、未だ告白に至れないのも半分以上はこの緊張感のせいだ。


 ああ、この緊張感、無くなってくれないかな、と常々思う。


「いつ告白しようかなー…」


 そう(ひと)りごちる。


 でもその独り言にリスナーがいるなんて露知らず。


「え…?」


 きっと洗面等々が終わったのだろう、少しさっぱりとした、やはりかっこいい雰囲気を醸し出す広斗くんがこちらに釘付けと言わんばかりに目を見開いている。


(まさか、今の聞かれた!?)


 顔が火でも付いたかのように熱くなり、耳までその熱を(はら)んだ。その感覚を確かめるためか、はたまた無意識か、両手が自分の顔を包む。案の定、熱かった。


(え、ちょっとまって心の準備がっ…!)


 私は、ほぼ無意識に首を横に振りながら広斗くんを遮るかのように両手を前に突きだし、否定してしまう。


「あ、いや、今のは違くて、えっと、そのっ…!」


 無意識に否定したことに言っている途中で気付き、語尾が尻すぼみになる。

 とっさに心中と反対の行動をとってしまうあたり、まだ覚悟が決まっていないんだな、と自覚する。告白への道程(みちのり)は果てしなく遠い。


 そんな事を考えて頭の熱が急激に引いていくのを感じていた間、広斗くんの表情はさっきから一度も、微動だにしていない。相変わらず目を見開き、口をあんぐりと開けたまま硬直している。


 そのまま数秒が経過。遅刻しそうなのにこの時間は何なのだろうと思い始めた頃、ようやく広斗くんが油を挿し忘れたロボットみたいにぎこちなく声を発した。


「も、もしかして…お前」

「っ!!」


 その全てを察したかのような物言いに、引いた熱が蒸し返される。容器になみなみととつがれた水のように零れそうな緊張感と期待に襲われる。私は息を飲んだ。


「好きな人いたのか?」

「―――え?」


 ―――のを後悔した。

 なんだろう、自分が思っている感じに解釈してない気がする。

 でも一応、ほとんどの水が零れ出た容器にわずかに残った雀の涙ほどの期待を込めて。


「う、うん。いるよ…?」

「そ、そうか…へぇ~そうなのか~…」


 やっぱり勘違いされてる!?


「へぇ~…」


 広斗くんは顔を真っ赤なダルマのように染め、名状しがたい難しい表情で、しかしその鋭い眼光が再三私のきっと赤くなっているだろう顔を貫く。その視線は私を心地よい温度へと誘うが、対照的に心は不安に怯え、凍えるばかりだった。


(その視線の意味は何? 私を応援しようとか思ってるの? それとも―――)


 私に好きな人がいるって聞いて、嫉妬してる、のかな。

 願わくば後者であって欲しいと、羞恥に身悶えながらも見つめ返す。


 しばし静寂が続く。なんだか焦らされているようで、どうも落ち着かない。


「あ、え~と、その~…」


 広斗くんはしどろもどろになって、目を逸らしながら。


「良かった、んじゃねーの…?」

「…うん」


 良かった、って、何がだろう。

 どっちとも取れない曖昧な返事に、少し肩を落として頷く。ここで「そんな返事じゃやだ!」なんて言う肝っ玉とか気力とか、そういうのは無かった。


「ああもう!!」

「うぇっ!?」


 また居心地の悪い雰囲気になるのを嫌ってか、広斗くんが唐突に声を荒らげる。私はそれにびっくりして少し変な声を漏らしてしまう。


「支度、してくれたんだろ?」

「あ、う、うん。はい」


 若干(とぼ)けながら支度した鞄を渡す。今日は始業式だから筆箱とファイルだけで十分な筈なんだけれど、何故か不安になる。


「よし、急ぐぞ! 間に合わんくなる!」

「うっ、うん! そうだね!」


 今度は広斗くんが私を急かしてくる。それに促され、私達は踏鞴(たたら)を踏む勢いで外出し、通学路を急いだ。








 ◆◆◆


「ふうっ、危ねぇっ」

「ぜー、はー、ぜー、はー…」


 学校に着いた。

 生徒用に校舎の壁に飾ってある時計は、登校予定時刻のわずか一分前を示していた。


「その体力が、欲しい、よ…」

「毎日二時間休むことなくサッカーしてたら手に入るぜ」

「おみそれ、しました…」


 私達は通学路を歩くことなく駆け抜けたため、その疲労も半端じゃない。けれど、広斗くんは運動部によって鍛え上げられた体力を持っていたため、その被害に遭ったのは私だけだった。しかもスピードもペースも私が広斗くんに合わせる形で走っていたため、余計にしんどい。

 広斗くんがもう平常な呼吸を取り戻しているのに対し、私はまだ肩で息をしないとつらい。


 まあ、そんなことは後回しだ。それよりも。


「クラス替え、どうなってるかな」

「さあな、また腐れ縁的な何かで一緒だったりして」

「腐れ縁って何よ!」


 そんな軽口を叩き、私達は下駄箱へと赴く。


 予想通りというか、ごく当たり前というか、下駄箱の手前に人だかりが出来ていた。その一人ひとりが見つめる先には、クラス、担任の先生等、今年一年に響く重大な情報が記されている。「やったー担任がさきちゃんだー!」とか「うわークラス一緒なれんかったかー」など、数多の生徒達の喧騒の声が辺りに伝達していくかのように賑やかになっていった。


 それにつられるようにして、私は掲示板をのぞこうと試みるが、人だかりの最前線を高身長な人達が占領していて見えない。中肉中背、恨むべし。


 そんな悪戦苦闘している私をよそ目に、広斗くんは特に背伸びをすることもなく掲示板を見渡し、程なくして自分の名前を見つけたようだ。


「あ、また一緒かいな」


 独り言のように宛もなく呟かれたその言葉は、しかしはっきりと私の耳に届いた。


 クラスが一緒。まだまだ私のラッキーは止まらないようだ。あの縁結び神社、ご贔屓(ひいき)にさせてもらおう。


 そして、普通ならここで幼馴染として軽口の一つでも叩くべきだったんだろうが、私はあまりに突然の出来事に、何の気なしに素直な感想を言ってしまった。


「やった、一緒なんだ」

「え」

「え? ―――あ」


 そしてバッチリ聞かれていた。だがもう時既に遅し。

 広斗くんの顔が、さながら水素にマッチを近付けたかのようなボッという音を立てて深紅に染まる。きっとそれは私も同じなんだろうな、と咄嗟に俯いて思い(ふけ)る。


 周りの騒々しい空気とは対照的な沈黙が二人を覆う。またこれか、と諦めて溜め息を一つこぼそうとして―――


「やや! 二人とも何やってんのさ! あ、もしかして良い空気だった? ムードだった? ごめんね~!」

「ちょっ、おま、別に俺らはそんなんじゃ―――!」


 沈黙を断ち切る鈴を転がしたような可愛らしい声に、私は吐きかけた息を飲み込んだ。そしてその言葉の内容に広斗くんが反駁したのを聞いて、私も一言言いたくなった。


 こんなちょっかいを出してくる奴なんて、私の友達の中には一人しかいない。


「そ、そうだよ! 何言ってるの、風莉(ふうり)ちゃん!」


 片樹風莉(かたぎふうり)ちゃん。

 ショートボブのふんわりとした髪型に、くりくりした大きな目と少し低めの身長が特徴的。天真爛漫、明朗快活な性格で、小学校からこんな感じでいつもちょっかいを出してくる。楽しいことが大好きで、昔からよく行事の時はクラスの中心になってみんなを引っ張っていた。そんな明るい彼女は、男子からも人気があるのだそうだ(広斗くん談)。実際、告白された回数をひっそり教えてもらったのだが、聞いたときには卒倒しかけた。


 そして、私の恋のお悩み相談専門カウンセラーでもある。

 風莉ちゃんは私が広斗くんを好きであることを知ると、「私に任せて!」と言わんばかりにアドバイスをくれたのだ。実際にそれで広斗くんに上手く接することが出来たのかは分からないが、確かにアドバイスされた事を実行すると広斗くんの反応が急にしおらしくなったりした。それ以来、頼りにさせてもらっている。


「まーまー。あ、あたしも二人と同じクラスになったよ! よろしくね!」

「ほんと!? やった!」

「よ、よろしくな」


 今まで仲良くしていただけあって、やっぱり嬉しい。お互いにひしっと抱き合う。広斗くんはそれを見て躊躇(ためら)いがちに返事をする。


 さて、結果も見たことだし、靴から上履きに履き替えよう、と二人を促し、自分の下駄箱の位置へ。クラス替えされてたから番号とかも変わっていて、探すのにちょっと時間がかかった。


「えっとー、ここか」


 広斗くんも同じだったようだ。

 よし、と意気込んで自分の下駄箱を開け―――


 バタンッ!!


 ―――ようとして、急に鳴り響いた大きな音に身を(すく)めた。

 その発信源は。


「…………」


 広斗くんだった。しかも様子が少しおかしい。

 下駄箱に忌むべき物が入っているかのように、自分の下駄箱を手でしっかりと塞ぎ、明後日の方向を見やっていた。


「広斗くん?」

「へっ!? 何だよ!?」


 声をかけると、あからさまに挙動不審。

 ―――ラブレターかな。


「…いや、何でもない。行こっ、風莉ちゃん」

「う、うん。そだね」


 他の人に負ける気は無いけれど、問い詰めるのも相手に不謹慎だというものだ。

 なるだけ素っ気なく言い、風莉ちゃんを連れて先に教室へ赴く。


「―――ごめんね、やっぱり私」


 その呟きを、本年度ラッキーである私は不幸にも聞き取ることが出来なかった。







 ◆◆◆


 キーンコーンカーンコーン。キーンコーンカーンコーン。

 聞き慣れた終業のチャイムが校内に響き、生徒たちは下校のために玄関へと歩を進める。いつもならあたしもその例に漏れない。


 でも、今日は一つ“答え合わせ”をしに屋上へ行かなければならない。正直、抜け駆けもいいところなのだけど。


 ギィーと音を立てて重い扉を開き、誰も居ない屋上にたどり着く。夕日に映えるその幻想的な景色は、しかし今回ばかりは荘厳さを感じさせ、私の胸に嫌な振動を与える。


 大抵の用事なら遅刻寸前に到着するあたしだが、今回ばかりは先に来ようと決めていた。

 逸る気持ちを落ち着けるべくゆっくりと深呼吸をして身なりを確認する。特におかしいところはないはずだ。


 あたしだって友人を裏切ってこんな事をするのは気が引ける部分もあった。けれど、あたしだって女だ。恋の一つくらい、するともさ。だから友人と恋とを天秤にかけて、恋に傾いた。自分でも嫌な奴だと思う。ああそうだ、あたしは罪人だ。ジレンマに耐えられなかった悪魔だ。


 そう罪悪感に駆られている間に、先程と同じ音を立てて扉が開いた。

 彼こそ、あたしがこんなところに呼び出した人物。今、あたしの鼓動を高鳴らせている人物。


「どうしたんだ? 急にこんなところに呼び出して」


 宮坂広斗。

 学校で人気絶大の、超絶イケメン。マンガの主人公みたいな人。


 余興は、いらないだろう。

 なるべくいつもの接し方を装って、気軽にそれ(・ ・)を訊く。


「うん、ちょっと。広斗はさ、今好きな人っている?」

「えっ!? ほんとにどうした!? お前がそんなこと訊くなんて」


 顔を盛大に赤くして、突然の質問に戸惑っているらしい。

 当然だ。言っている私ですら、冷静を装えているのかわかったものじゃない。


「いいから。答えて」

「いやいやいや、そんな、好きな人なんていないって!!」


 わかりやすい反応だなぁ、と内心で呆れる。

 けれど、今日はそれじゃ終われないんだ。今日だけは、絶対に。


「そっか。じゃあとりあえずはそれでいいや」

「へ…?」


 言葉の意味がわからないというように、彼は素っ頓狂な声を上げる。


「今からとっても大事な話をするから、その話を聞いたら今の質問、もう一度答えて」


 あたしの本気が伝わったのか、さしもの彼も真剣な表情になった。

 そしてあたしは、深く息を飲み、ずっと温めてきた思いを口に出した。


「あたしね、ずっと前から広斗のことが、好き、だったんだ。勿論男の子として」


 頬を紅潮させつつも、出来る限りの笑みを浮かべてそう告げた。


「え? あ、いや、それは―――」

「だから! だからね」


 二の足を踏む彼の言葉を途中で遮り、続きを話す。


「返事、聞かせて」


 有無を言わせない私に、とうとう観念したようで、彼は一度口をつぐんでからあたしの目をじっくり見据え、答えてくれた。


「俺は…俺はずっと、お前のことをいい友達だと思ってる。だけど、俺は杏奈の事が好きなんだ。だから、お前は良い友達としか思えない。わるいな」


 ―――だよね。


「…ぷっ」

「へ?」


 二度目の惚けた声。それに耐えきれなくなったかのようにあたしは盛大に笑う。


「あっはははははははははは!!」

「へ、へ?」


 最早「へ」としか言えない生物と化した広斗くんに、あたしは言う。


「冗談よ、冗談。あたしが広斗を好きになるとでも? ムリムリ! あの杏奈ちゃんとのイチャラブみてたら近寄れるわけないじゃん! 広斗さ、分かり易すぎ、あははははははっ!!」

「え、えええええええええええええ!!?」


 屋上に彼の澄んだ絶叫が響き渡る。


「てめぇ、とんだ恥を―――」

「でもさ、言ったね。杏奈の事が好きだって」

「い、いやそれは―――」

「逃げる気? まだ大丈夫とか言って誤魔化す気?」

「…」


 正直、そんだけへたれられてると。


「こちとらイライラしっぱなしなのよ。とっとと結ばれちまえ、このおしどり夫婦が!」


 鋭い声で一喝する。我ながらいい声を出した。


「…」


 広斗くんは、もう声も出ないといった感じであたしを唖然とした表情でぼうっと見ている。

 さて、そろそろお(いとま)しないと。


「あたしが言いたかったのはそれだけ。明日結果聞くから! もしへたれたらシバき回す! 健闘を祈るよ! それじゃ―――」


 そう言って、手早くドアノブに手をかけ、その手を捻―――


「! おい待て!」


 ―――ろうとして。意識に反してその体は身動き一つ出来なくなる。

 何故、あたしはその言葉に反応してしまったのだろう。何故、そのままドアノブを捻り、独り帰らなかったのだろう。


 何故、この言葉を聞いてしまったのだろう。


「…ありがとな、勇気出た。ほんと、お前にはいつも助けられるばかりだな」


 ―――やめて、あたしはただの狡い裏切り者なのに。恋する資格なんてあたしには無いのに。

 ほんと、広斗は、狡い。


「―――いいよいいよ、頑張りな!」


 何様のつもりで言ってんの、あたしは。

 あたしは、そんな罪悪感に耐えきれず逃げるように屋上を後にする。晴れ渡っている筈の情景に、一つのちっぽけな染みを残して。

 結局あたしは、その後そのまま家まで逃げ帰ったのだった。


 屋上の扉の横の人影に気付かずに。







 ◆◆◆


 最初は、行く気はなかった。不謹慎だし。

 でも、やはり恋敵の情報は掴んでおくべきだと思ったのだ。

 本当に、ただの出来心だったのだ。


「…」


 去っていった人影は、(きら)びやかな(しずく)を頬に垂らし、こちらに気付く様子も無く一目散に階段を駆け下りる。その背中には、哀愁を感じさせる程の迫力があった。


「そんな、まさか、そんな…」


 会話は、動揺して殆ど聞く耳を持てなかった。


 信じられない、信じたくないその事実に、私は息遣いが荒くなっていくのを感じる。

 教科書を忘れた時はいつも貸してくれた、怪我した時はいつも保健室に連れて行ってくれた、私が欲しがった弁当のオカズは全部分けてくれた、馬鹿な私に根気よく勉強を教えてくれた、いつも私にちょっかいをかけて場を和ませてくれた、私に恋のイロハを教えてくれた。


 止めどなく溢れるその思い出は、残酷にも私を底なし沼に沈めるばかり。

 私はその底なし沼の名前を呟き、自分に問う。


「風莉ちゃん…なんで、なんでっ!」


 風莉ちゃんは、広斗くんのことが好きだったのだ。


 最後は取り繕ってこそいたが、私には分かる。あれが本気だったのだと。


 考える根拠として、あの正確性に過ぎるアドバイスが挙げられる。私自身、あのアドバイスはどこから仕入れているのか長年謎だったのだが、風莉ちゃん自身がとてつもない興味を持って探りを入れていたとなれば合点がいく。そして、それを基準に考えを広げてみると、それとなく思い当たる節が幾つかある。休日に遊ぼうと呼びかけるのはほぼ必ず風莉ちゃんだったり、遊ぶ時もそのメンバーには毎回広斗くんを呼んでいたり。あの頃は「私の恋を応援するため」と勝手に考えていたが、今思うとそうまでして人の恋を応援出来るとは思えない。あの頻度は我欲が混じっているそれだった。


 私は、身勝手に幼馴染という立場を振りかざし、知らず知らずの内に、人の恋路を、邪魔していたのだ。


「私、悪い子だ…」


 体育座りを更に縮こませ、顔を膝に埋める。


 どうしたらいいの。


「あ、杏奈、どうした? こんな所で」

「―――え?」


 不意に、私に声が掛かる。この状況下でこの辺りに居る人物。


「…広斗くん」

「…お前、ホントに大丈夫か?」

「あ、いや、何でもないの、うん…」

「それなら良いんだが…」


 いつもならときめく広斗くんの気遣いも、今は。


「…杏奈」

「何」


 譫言(うわごと)のように、条件反射のように訊き返す。


 正直に言うと、最悪のタイミングだった。


「今日、お前ん家寄るぞ」







 ◆◆◆


「案外綺麗にしてるんだな」

「まあ、それなりにね。ああ、そこ座って」


 二人が座ったところで、暫しの沈黙が流れる。

 私は今風莉のことで頭が一杯で、あまつさえその渦の中心にいる広斗くんと話すなど不可能だったのだ。


「なあ、杏奈は最近部活とかどうなんだ?」

「え、あ、うん。そうだね……」


 つい素っ気ない返事をしてしまい、沈黙に拍車をかける結果となった。


 “家に寄りたい”。いつもなら、或いは恋愛運絶好調に浮かれていた昨日までの私ならば、喜びで頬が緩むのを抑える事が出来なかっただろう。


 でも今の、風莉ちゃんの気持ちを知ってしまった今の気持ちでは、手離しには喜べない。

 いや、喜んではいけないのだ。

 そもそも私が今まで広斗くんに積極的にアピールできたのは、風莉ちゃんの助力があってこそなのだから。


 風莉ちゃんは私の気持ちを知っていて、私が恋敵だと認識していながらも、私を応援してくれていた。逆の立場なら、私にはとても出来ないだろう。

 私はこのまま、広斗くんを好きでいて、いいのかな。

 私に、広斗くんを好きになる資格なんて、無いんじゃないの。


「ああくそっ、杏奈!!」

「はっ、はい!?」


 そんな思考にずぶずぶと沈んでいく私に、声を荒らげる広斗くん。


 なにやら真剣な面持ちだ。今の私は、その程度にしか認識出来なかった。

 この状況に真剣な表情ですることなんて、数えられるくらいしかないというのに。


「俺っ、ずっと前からお前のことが好きだった! 俺とっ、付き合ってくれ!!」


 ―――視界がグワッと広がる。


 私は広斗くんが好きで、広斗くんは私が好きで。自分の思考がその二色で堂々巡りをしている。結論にたどり着けそうになかった。


「へ? な、なんで私なんかと」

「俺、今日風莉に励まされてさ。見事に誘導尋問に引っかかって、でもお前が好きだっていうことを改めて再認識させられたんだ。だから―――」


 ―――むかつく。こうも好意に鈍感な広斗くんに、腹が立つ。

 私達のせいで、風莉ちゃんは―――


「ふざけないで!!」

「―――えっ!?」


 突然の怒声に、彼は面食らったようだ。

 意味が分からないと言うような顔を向けたままボソッと呟いた。


「そっ、それはどういう…?」

「風莉ちゃんは、風莉ちゃんはね、本気だったんだよ。本気で広斗くんが好きで、今日告白したんだよ。何で気付いてあげられないの!?」

「お前聞いて……。でも、あいつが冗談だって―――」

「うん。聞いてたよ。だから分かる。女の子として聞いてればまる分かりだったもん。本気だって」

「そんな…」


 広斗くんが、額に手を当てて嘆く。

 やっと風莉ちゃんが本気だったと理解したのだろう。


「だから、私は広斗くんの気持ちには…」


 応えられない、そう言いかけたが、部屋のドアが開く方が一瞬速かった。


「風莉ちゃん…?」

「風莉…?」


 私と広斗くんが同時に溢す。

 そう、ドアの向こうに立っていたのは紛れもなく風莉ちゃんだったのだ。


「何で・・?」


 私の問には答えず、風莉ちゃんは無言で歩み寄ってきた。

 そして


 パァァァン!!


 鋭い音が部屋に響いた。同時に右頬に痛みが走る。


「なに、バカな事言ってんの。あんた広斗のこと好きなんじゃない。何で誘いを受けないのよ…」


 絞り出すように風莉ちゃんが言った。


「だって、それじゃあ風莉ちゃんが…」

「私のことはどうでもいいの。あんただって自分が一番大事でしょ?」

「そんなこと…」

「ある。そんなものよ人間なんて」


 風莉ちゃんは、反論は許さないと言わんばかりに続けた。


「私はね、自分が一番大事。胸を張って言えるわ。だからこそ、あんたの気持ちを知っていて割り込んだの」

「じゃ、じゃあ…」

「でも!!」

 言い淀む私の言葉を、風莉ちゃんはキッパリと遮った。


「でもね…、二番目はあんたよ、杏奈」

「ッ!!!」

「私が振られた時点で、私の最優先は杏奈なの」

「でも、それじゃあ風莉ちゃんはどうするの!?」


 精一杯の反論だった。けれど、昔からこの手のことは風莉ちゃんに分がある。


「どうもこうも無いわよ。私はまた新しい恋を探すだけ。でもあんたの恋は今よ。それとも広斗が嫌いなの?」

「勿論好きだよ。でも私は、風莉ちゃんにもちゃんと幸せになって欲しいの…」


 これが私の本音だった。どうすればいいのか分からないけど、この気持ちだけは本物だ。

 その本音に風莉ちゃんは満面の笑みで答えた。


「なら簡単でしょ。本当に私を想ってくれるなら、あんたは今幸せになりなさい。それが私の今の願いだし、それが私に勝ったあんたの義務よ」


 もう言い返す言葉も出ないし、そんな気も無かった。


「風莉ちゃん! 風莉ちゃん! ごめんね。ホントにごめんねぇぇ。ありがとうぅ……」


 私は風莉ちゃんに抱きついて、そしてそのまま大声を上げて哭いた。もう言動が支離滅裂だ。


「全く、泣くか謝るか感謝するか、どれか一個に絞りなさいよ……バカ」


 風莉ちゃんは、一頻(ひとしき)り泣いた私を引き剥がして、私たちに告げた。


「じゃあ、さっきのやり直しなさい。もう私のことは気にしないで、ね」

「うん。頑張る」

「ファイト! …親友」


 そう言い残して、彼女は部屋を後にしたのだった。


「…」

「…」


 再び沈黙が空間を支配する。


「あ、あの」

「杏奈!」


 どうすればいいのか迷う私の肩に、彼の手が置かれた。


「もう一度聞かせてくれ。杏奈、お前が好きだ。愛してる。俺と、付き合ってくれ」


 もうさっき流せるだけ流したのに、無尽蔵に涙が涌き出てくる。

 嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて、溢れる感情の波が止められない。


「私も、大好きです。これからも宜しくね」

「あぁ。これからは恋人として宜しくな、杏奈」


 ガバッと彼の暖かい腕が体を包み込む。彼の熱が直に体へと伝わってくる。

 体だけでなく、心まで温かいもので満たされていく。

 ずっとこうしたかった。

 彼への気持ちに気付いてから、今年は攻めると決めたときも、風莉ちゃんの想いを知ったときも、彼に想いを伝えるべきか迷っていたときでさえもずっと。



 私たちは暫くそのまま抱き合い、そして……


 ゆっくりと、口付けをした。







 ◆◆◆


「―――っていう実体験話なんだけど、どう、広樹?」


 杏奈は、俺に出来を訊ねてくる。


 一言で言うと、出色の出来、だと個人的には思う。ありふれたラブストーリーでこそあるものの、人間の多彩な感情を反映した、考えさせられる良い話だ。しかも実話ときた。フィクションでは伝えきれない現実味をありありと表している。


 ただ一つ、後半が何となく駆け足な展開だったのが実に残念だ。ああいう観客に何かを思わせるようなシーンでは、それぞれの人物描写や情景描写、その登場人物の感情までもを一文一文丁寧に推敲しなければならない、と思う。淡々と事実を述べられているだけのような味気なさを後半に感じた。少し脚色してもいいから、もう一押し欲しかった。


 まあそんなこんなで、まだまだ荒削りではあるが、光るものは十分にあると思う。


 だが、その前に一つ、実に私的な意見を申し上げたい。


 俺はその原案(プロット)を脇に置いて、盛大に溜め息を吐き、言った。


「リア充爆発しろ」

どうも、しゃぶしゃぶです。いや、出来心なんです(ry

あと、一話で恋のお話を収めるのは不可能に近いと悟りました。以後慎みます(;ω;)


今回の話を作るにあたって、他のメンバーに協力を求めました。あの最後の告白のシーン、実は他のメンバーに書いてもらっています。バレンタインデーに投稿するという信念の下での暴挙ではありましたが、何卒ご容赦下さい。

まあその後の広樹の感想でかなりボコボコに叩いてますけどね(暗黒微笑


では、感想や評価、ブクマetc.お待ちしてます。

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