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唯先生とひかりちゃん

作者: ひじきたん
掲載日:2015/08/04

こんにちは、ひじきたんです。

連載の合間に、休憩で作ったものです。軽い気持ちでどうぞ。

唯先生とひかりちゃん


二〇〇九年十二月三十一日、東京。松岡唯二十六歳、新任教師やってます。

実家は政治一家で、三人の兄も政治家で、親に期待されて育ったけれどなにをやってもダメで……なんとなくなった高校教師も、いつも自信がなくて。生徒にもなかなか興味を持ってもらえる授業ができない。

向いてないのかな、とか辞めたいとか思いつつ、神社で一人年明けを待っていたら。

「あれー?松岡先生?」

長い黒髪の女子だった。担当クラス、二年二組の生徒。金沢ひかり。

ひかりは唯を見て駆け寄り、笑顔で話しかけてくれた。

「先生も年越し?」

「あ、あぁ……。金沢も?一人で?」

「友達が一緒だよ。同じクラスのななみんと、風香ちゃん」

「そうか……受験祈願できたの?」

「うん。うち、結構無理めじゃん?あ、ねぇ先生、先生が補習してよ」

「お、おれが?でも……」

「ね、お願い!先生の授業、うち好きなんだ!」

好き?好きって言ってくれるの?

「あ、ごめん先生。ななみんたちが呼んでる!じゃ、よいお年をー!」

それが、唯先生とひかりちゃんのはじまりでした。


二〇一〇年十二月一日。金沢ひかり、高校三年。

「金沢……受験大丈夫か?」

「えーと、やばいね。へへ」

ひかりは都内の国立大学を志望していた。そこそこの成績だったら行ける、普通の大学。

「もう一度やろうか」

唯はテキストを開いて、ひかりの苦手な範囲を探す。

「ういー……先生休憩!」

「金沢、もう少し頑張ろう」

「先生がキスしてくれたらうち、頑張るー!」

「冗談もほどほどにしなさい」

「ジョーダンじゃないよ?」

唯はぎょっとして、ひかりに目を向けた。ひかりはまっすぐ見つめ返して、はっきりと口にする。

「うち、先生のこと好きだもん。ずーっと好きだった」

唯はその場から逃げた。

それからひかりを避けるように、理由をつけては補習から逃れた。


三月、卒業式。

ひかりは無事に志望校を合格して、卒業式に出席する。唯は担任として、出席する。式の間中、ひかりから目を離せなかった。

一年前のあの日、ひかりが言ってくれた言葉を思い出す。

『先生の授業、うち好きなんだ!』

あの言葉に救われて、唯は今でも教師を続けられている。ひかりのおかげで……。

式は終わり、卒業生も帰宅した。教師も帰るところだ。唯も自分の車に乗り込もうと、ポケットからキーを出そうとした。

「先生!!」

帰宅したはずのひかりがそこにいた。

「金沢……どうしてここに?」

「告白しに来ました」

ひかりは息を深く吸い込み、絶叫した。

「金沢ひかりはッッ松岡唯のことが好きですッッッ!!!!!!!!!!」

息を切らせて、ひかりは涙を流す。

「うちのこと……生徒だからダメっていうなら……せめて、一度だけ『ひかり』って呼んでください……」

桜が散る。ひかりの黒髪と桜のピンクの、コントラスト。

「ひかり」

忘れられないのは、心に残るから。太陽の光のようにこびりついて離れない、深い想い。

「ひかりが好きだよ」

「…………ほんと?」

あの時逃げたのは、あのひかりに届かない気がして、怖かったから。だって自分は、こんなに劣等感の塊で、君にふさわしくないと思っていたから。でも、君の言葉は、おれの深いところに届いた。

「好きだよ、ひかり」

これは唯先生とひかりちゃんの、小さな恋の物語。


ひじきたんです!

初の短編でした。連載の合間に作りました。女子高生を叫ばせたくて、こんな感じになりました。黒髪と桜が好きです。

連載中の亡霊(ポルターガイスト)×少年少女もよろしくお願いします。

2015.8.4 ひじきたん

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― 新着の感想 ―
[良い点] 甘酸っぱい、いいお話でした。 [気になる点] 情景がすぐに想像できないのが残念。
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