表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そして世界に竜はめぐる  作者: 美汐
第九章 宴
151/157

宴 2

 外に出ると、水の都は温かい日差しに照らされていた。


「ついに三国同盟が実現したかー! なんかオレとしてもここまでつきあってきた甲斐があったというか、やっぱり嬉しいな」


 みんなの心配が嘘だったように、再会したルーフェンは相変わらず脳天気なものだった。少女姿のルーフェンは、王宮の外に出た途端、くるくると身を躍らせて喜んでいる。そして、そんな元気そうな様子を他の仲間たちは微笑ましそうに眺めていた。


「まったくあれからどうしていたかと随分心配していたが、まさかあんなとんでもないものを引き連れて戻ってくるとは思わなかったぞ。風の竜の分身というだけあって、やっぱりやることが神がかってやがるな」


「水の竜。とても美しくて穏やかで、それでいてとても強い力を持った竜でしたわ」


「やはり神竜同士、なにか共鳴するものがあったのだろうか。あの竜のお陰でこの都は救われた。水の加護を受けし都は、本当に水の竜に護られていたのだな」


 エディールの言うとおり、一度は魔物に襲われ、壊滅の危機にあったエスティーアだったが、現在、そこから眺める景色は、水で洗われて一層輝きを増したようでさえあった。


「水の竜も、またなにかあったときは呼んでいいって言ってたし、これからの戦いにおいて、強力な後ろ盾ができたって感じだな。オレも水の竜に負けないように頑張らなくちゃな!」


「でも、今回みたいに離ればなれになるのはやっぱり心配だよ。あんまりどこか遠くに行って心配かけないでくれよ」


 そんなユヒトの言葉にも、ルーフェンはお気楽なものである。


「だーいじょーぶだってっ。オレとユヒトは心で繋がってるんだ。今回だってユヒトはオレを見つけられただろ。ちゃんと最後には会えるんだから」


 そんな根拠があるのかないのかわからないルーフェンの言葉だったが、なぜかユヒトはその言葉で腑に落ちたように納得してしまった。


「ちゃんと最後には会える、か。……そうかもしれないな」


「ん? ユヒトもわかったか? オレの言いたいこと」


 にんまりと笑うルーフェンの表情に、ユヒトは思わずつられて笑顔を浮かべる。


「でも、心配かけるのはやっぱり駄目だからね!」


 彼らの笑い声が、天に響いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ