宴 2
外に出ると、水の都は温かい日差しに照らされていた。
「ついに三国同盟が実現したかー! なんかオレとしてもここまでつきあってきた甲斐があったというか、やっぱり嬉しいな」
みんなの心配が嘘だったように、再会したルーフェンは相変わらず脳天気なものだった。少女姿のルーフェンは、王宮の外に出た途端、くるくると身を躍らせて喜んでいる。そして、そんな元気そうな様子を他の仲間たちは微笑ましそうに眺めていた。
「まったくあれからどうしていたかと随分心配していたが、まさかあんなとんでもないものを引き連れて戻ってくるとは思わなかったぞ。風の竜の分身というだけあって、やっぱりやることが神がかってやがるな」
「水の竜。とても美しくて穏やかで、それでいてとても強い力を持った竜でしたわ」
「やはり神竜同士、なにか共鳴するものがあったのだろうか。あの竜のお陰でこの都は救われた。水の加護を受けし都は、本当に水の竜に護られていたのだな」
エディールの言うとおり、一度は魔物に襲われ、壊滅の危機にあったエスティーアだったが、現在、そこから眺める景色は、水で洗われて一層輝きを増したようでさえあった。
「水の竜も、またなにかあったときは呼んでいいって言ってたし、これからの戦いにおいて、強力な後ろ盾ができたって感じだな。オレも水の竜に負けないように頑張らなくちゃな!」
「でも、今回みたいに離ればなれになるのはやっぱり心配だよ。あんまりどこか遠くに行って心配かけないでくれよ」
そんなユヒトの言葉にも、ルーフェンはお気楽なものである。
「だーいじょーぶだってっ。オレとユヒトは心で繋がってるんだ。今回だってユヒトはオレを見つけられただろ。ちゃんと最後には会えるんだから」
そんな根拠があるのかないのかわからないルーフェンの言葉だったが、なぜかユヒトはその言葉で腑に落ちたように納得してしまった。
「ちゃんと最後には会える、か。……そうかもしれないな」
「ん? ユヒトもわかったか? オレの言いたいこと」
にんまりと笑うルーフェンの表情に、ユヒトは思わずつられて笑顔を浮かべる。
「でも、心配かけるのはやっぱり駄目だからね!」
彼らの笑い声が、天に響いていた。




