表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そして世界に竜はめぐる  作者: 美汐
第六章 聖王シューミラ
140/157

聖王シューミラ 3

 そして、ユヒトたちは案内役のエルフに連れられる形で、ついに謁見の間の前までやってきた。

 扉が開かれると、その先には広い空間が待っていた。

 すぐに目についたのは、天井付近で点々と光っている不思議な光の球。それぞれの光の球は独自に様々な色あいで光り、さらにそれらは重さがないものかのように宙に浮かんでいた。なにを光源にしているのか、どうやって宙に浮かんでいるのかわからないが、きっと優れた魔法使いを多く有しているとされるこのエスティーアでは、こんなものも案外容易く作れてしまったりするのかもしれない。


 そしてその部屋の正面奥には、森と水をイメージとしたハザン国の旗が飾られ、その下には玉座が鎮座していた。美しい宝玉で装飾された玉座の上には、まだ誰もおらず、ユヒトらはちらちらと横に並ぶ警護の兵士たちに視線を送っていた。


「もう少しで入室されるはずだ。しばし待たれよ」


 すぐに会えるものだとばかり思っていたユヒトは、少しだけ緊張していた体を緩ませた。とりあえず言われるままにしばしその場で待機する。

 しかし、それからかなり時間が経っても、シューミラはなかなか謁見室に姿を現さなかった。


「どうしたんでしょう」


「なにか不都合でもあったのか?」


 ユヒトたちが落ち着かない様子になってきたのと同じように、周囲の警護のものたちもそわそわと謁見の間の奥に設けられている扉に視線を送っていた。

 聖王の侍従らしき美しい女性のエルフが、様子をうかがうためにそちらへと向かう。彼女が奥の部屋に入ってすぐに、そこから悲鳴が聞こえてきた。


「何事だ!?」


 警護の兵士たちがそれを聞きつけてそちらへと向かっていく。ただ事でない様子に、しばらくその場に跪いていたユヒトたちもその場を立ちあがった。


「なんだ? どうしたってんだ?」


「何事かあったんだろうか」


 仲間たちが疑問を口に乗せると、次の瞬間大きな音を立てて奥の部屋の扉が開き、なかから一人の兵士が叫びながら転がり出た。


「た、大変です! 聖王様が……!」


 それを聞いたユヒトたちは、互いに顔を見合わせると、すぐに奥の部屋へと駆けつけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ