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外伝-JMG [ジェット・モード・ガン] -  作者: ただっち
第1章ー暗躍者と敗北者ー
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Mission1-5

 それから約1時間後、天野翔琉博士は無事に結晶の中から救出された。

 意識不明のため、メディカルセンターに搬送されて、今は救命カプセルの中で治療中とのこと。

 結晶の中で眠り続けていた博士を、再び似たようなものに閉じ込めるなんて言うのは、実に皮肉なものである、と俺は思う。そんな中俺はと言うと――――――


「博士の容体は?」


 と俺はミランダの研究室に行き、彼女を問いただしている所だ。

 ミランダの研究室は、本やら資料が山積みになっていて、たまに雪崩が起こることも……あと、下着とか無造作に落ちてるから、本当にもう少ししっかりしてほしいと思う。


「いやいや、彼はまだ眠ってるよ、そうそう早く精神が覚醒するなんて、それこそ超人的なのだよ」

「推定で、どのくらい眠っていたことになるんだ?」


 と聞くと、ミランダは手元にあったパネルを操作して、モニターに計算データと推定年代を特定したデータを出した。

 モニター画面には、測定不能と言う文字と、ありえないほどの計算式がずらりと並んでいた。


「という訳で、推定は出来なかったわ」

「うん……やっぱり、空気の結晶だから、特定が難しいんだね。 まだ土壌にでも埋まってた方が、特定しやすかったよ」

「おいおいジェット君……流石にその発言は、生き埋めを暗示させてるわけだから、すごく怖いと思うよ」


 若干引き気味になってミランダは俺を見ていた。

 おっと失言してしまったようだ。

 てへっ。


「まあ、とにかく原因はいまだ不明……っという訳でいいのかな?」

「うん、そうだね。 まあ、本人が目覚めるまで、現代科学においてすら証明できない事実を解明して探求して創造することは出来ないと思うよ」

「創造って―――――」


 全く、この人は。

 まるで自分が神様にでもなったような言い方をするものだ―――――


「取りあえず、電気ショックでも食らわせたら、目が覚めるかな?」


 そういって、ミランダはどこからか強力なスタンガンを取り出した。

 いったいどうやったらそんな考えに至るんだ?


「おいおい、落ち着いてよミランダさん。 そんな無茶して、博士が死にでもしたら、あなたは間違いなくクビですよ」


 俺は慌てて、入口の前に手を広げて、阻むように立ちふさがる。

 若干、訓練時のトラウマが思い出として蘇ってしまい、足が震えているが――――――


「ふふふ……ジェット君。 君程度では、私の足止めにもならないよ」


 やべえ、完全にバトルモードになりかかっている。

 このままだと、基地が半壊するぞ!?

 と、その時入口の扉が開いて、ある人物が入ってきた。

 コードネーム:白百合である。

 本日は非番なようで、私服姿である。

 こういっては何だろうが、とても殺し屋なんか出来なさそうな、お姫様みたいな恰好をしている。


「あらあら、ジェット――――博士とイチャイチャしちゃって……気持ち悪いわね」

「おい‼ いきなり悪口かよ―――――ってそんな事より、ミランダさんを止めるの手伝ってくれよ‼」

「はあ? いったい何言ってんのよ?」

「ミランダさん、天野博士が目覚めないからって、電気ショック与えに行きそうなんだよ(しかも致死量の)」


 ああ……と、白百合は頭を抱えている。


「仕方ないわね――――ミランダさん、あんまり無茶ばかりすると、旦那さんに言いつけますよ」

「ギクッ‼」


 ああ、その手があった。

 ミランダの唯一の弱点は、自宅で帰りを待っている、旦那のボイルさんの存在である。

 ボイルさんは、ミランダの夫にして、この軍の創設メンバー。

 数年前に事故によって靭帯を負傷してしまい、現役から引退した身である。

 しかしながら、特別顧問として様々なコネを持っている重役である。

 またミランダの戦闘技術の師匠であるため、どうしても頭が上がらないらしい(あと、料理がプロ並みに美味らしい)。


「それだけは、勘弁してください―――――」


 こうしてミランダは大人しくなった(危ないところだった)。


「ところで、白百合は何しに来たの?」


 と俺が聞くと、白百合は真顔で


「べ……別に……ジェットが、ミランダさんの部屋に入ってくの見かけたから、面白いことが起こるかと思って」

「面白いことってなんだよ‼ 全く、相変わらずだな。 でも、どうしたんだ? 今日のその格好。 凄くかわいいじゃんか」

「あんたに褒められてもうれしくないけどね」

「ガーン……なんて、まあいいや。 んじゃ、俺は部屋に戻るわ。 じゃーねー」


 俺はそそくさと自室に戻る。

 こんなところにいたら殺されてしまいそうだ―――――


「全く、白百合は」


 とミランダは白百合にニヤつきながら言う。


「ジェット君に私服見て貰えてよかったじゃない」

「え? ちょっ……う……うん……」

「あらあら、そんなに顔を赤くしちゃって。 自分に素直になりなよ。 しっかし、ジェット君も隅におけないよね~こんなにかわいい子の心を射抜いちゃってるんだから」

「もう、茶化さないでくださいよ―――――」


 こんなガールズトークが繰り広げられているとはつゆ知らず、俺は自室についていた。

 ミアは、どうやら遊びに出かけているようで、いなかった。


「さてと……一眠りでもしますかな‼」


 俺はベッドに寝転がり、すやすやと眠り始めたのであった―――――



 夢の世界……広い広い海と、自然がそこには広がっていた。 夢……平穏……虚偽の世界……安らぎのある世界……常にそれを望んでいる。

 でもこんな世界でも、どうして……どうして……あの時の思い出がよみがえるんだろう。

 止めて……止めて……ヤメロ……ヤメロ……


[何してるんだい? ツバサ君]


 誰だ? 俺の夢の中に干渉しているのは?


[おお、初めましてだね。 俺の名前は天野翔琉と言うんだ]


 は?

 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ??????


[やあやあ、この世界の住人さん。 と言うか、俺の親族の方かな?]


 え? うそ、こんな事って……ありえない


[この世には有り得ないなんてことは山のようにあるんだよ。 ただ、人間はそれを解明して説明できるだけの材料が無いだけって話なのだよ]


 あれ? ところで、なんで俺が天野博士の親族って分かったんですか?

 

[翔琉と呼んでくれて構わないよ、俺の方もツバサ君と呼ばせてもらうから。 質問に答えるとするならば、君の過去を簡単にのぞかせてもらった時に出てきた、君の祖父の名前とあの姿は、間違いなく俺の弟の天野翼だろ?]


 そうですよ、翔琉さん。

 あなたの弟の天野翼の孫の、天野ツバサ……それが俺の本名です。


[だよね~いや、合っててよかったよ。 もし間違えていたらすごく恥ずかしいからね]


 ところで、翔琉さんは何故行方不明に?

 祖父や、曽祖父たちも、みんなで世界中探し回ってましたよ。


[まあ、それには深い事情があったんだよね。 ちょっと爆発に巻き込まれて異世界に行ってたから(笑)]


 異世界って……完全にファンタジーじゃないですか!?


[まあね。 そんで元の世界に帰るために、悪の組織と戦ったり、神様と戦ったりと、てんやわんやだったんだよね]


 そんな簡単に語ってますが、結構すごいことですよね?

 てか、神様と戦ったって……それで、翔琉さんは勝ったんですか?


[全部に勝ってなかったら、俺はここにいないよ]


 そ……そうですよね……


[ところで、なんでこの世界に俺はいるのだろうか?]


 え? それはこちらが聞きたいことですよ。

 あなたは、数十年前に行方不明、姿を実際に見れたのはこれが初めてなんですよ?


[いや、そうじゃなくて、俺は元の時間軸に戻ったはずなのに、何故こんな未来にいるのかな? って思って]


 そんなこと言われても……俺が知る由もないですよ。


[ふむ……そうだよな……なあ、アマデウスにレネン……どう思う?]

{そうだな……僕には分からない……レネンは?}

「あの愚弟の仕業かな?」


{[ああ……納得……]}


 え? すみません状況説明していただけますか?

 突然でできたこの2人は?


[ああ、この2人は神様だよ]


 神様?!


{おいおい、翔琉。 説明を省きすぎだぞ}

「そうだな。 では我々が自己紹介をしようぞ、アマデウス」

{そーだな♪ 初めまして、翔琉の関係者さん。 僕の名前はアマデウス。 光の神魔法の化身だよ♪}

「俺の名前はレネン。 創造神をさせて貰っているよーん♪」


 …………


[…………反応しにくいと思うけど、なんか言ってあげて……]


 まず……神様ってのは、理解しました。でも、魔法?って……


{魔法は魔法さ。 fantasyやおとぎ話にはよくある設定だろ?}


 いや、まあそうなんですけど……いまいち実感がわかないのですが……


{仕方ないな~んじゃ、証拠見せるよ♪ 光天神発動‼}


 うお‼ アマデウスの身体が光ったと思ったら、手からビーム出したり、背中に光の翼生えたり、なんか色々アクロバティックな技やっててすげえ――――‼


{どうだい? 魔法……信じる?}


 いや、実際にこんなの見せられたら、否が応でも信じますよ。


「流石は、翔琉の関係者だね、順応が早くて正直助かるよ♪」


 えっと……レネンさんは、創造神でしたよね?

 もしかして、この世界を創造したのって……


「そうです、私が創造したんです♪」


 博士もすごいけど……他の方々もすごすぎて、何が何だか……


[まあまあ、とにかくそんな感じで、俺は生活してるよ]


 えっと、そういえば、翔琉さんがここにいる原因って、レネンさんの弟さんのせいと言いましたが、それはいったいどういう意味なのですか?


「それはね、異世界にてどうにか打倒した俺の弟:アマギが、どうやら完全に封印されてなかったみたいなんだよね」


 と言うと?


「最後のあの戦いの時に、俺とアマデウス、そしてもう1人の力を借りて、アマギを【オールドア】って言う全世界に繋がる扉に封印したんだけど、どうやら完全に封じ切れてなかったみたい、と言うか、奴の凶悪な思念が別の世界に残っていたみたいでね……」


 オールドア?


「【オールドア】って言うのは、全世界を移動するために俺たち神様が元々利用していた扉なんだ。 まあ、簡単に言ってしまえばドラえも○のどこでもド○みたいなものだと思ってくれればいい」


 あー納得。

 それで、そのアマギの思念が残されてた結果、どうなってしまったということなのですか?


「だから、その思念が残っていたと言うことはつまり、アマギは生き延びていて、オールドアに細工をしたということになる。 つまりは、時間軸と座標軸を大幅に変えられてしまったということになるのかな?」


 ふむふむ、それで?


[うーんと、要は、悪者のせいで俺たちは時間軸を間違て、元の世界に戻ってきた、ということかな?]

「まあ、そうなるな」


 じゃあ、翔琉さんたちが、本当の歴史の時間軸に戻ることができれば……


[必然的に、歴史は変わるだろうね]


 じゃあ、翔琉さんたちが元の世界へと帰ることができたら、今起こっている第一次地球大戦や、多くの戦争を止めることができるのですか?


「まあ、理論上可能だな」

[え? 第一次地球大戦って何? え? 俺いない間の地球ってそんなにひどい状況になってんの?]


 はい……不老不死の薬が開発されてからと言うものの、世界中では戦争が絶えなくなりました。

 まるで命が無くならない永遠に続く破滅のゲームです。


「破滅とか……やはり、これも実験なのか?」


 実験?


{封印されたアマギは、全世界を自分の実験所だと言って、そこに住むあらゆる生命は、自分自身を楽しませる実験道具であると思っているんだよ……}


 なるほど……と言うことは、もしかして?


{可能性としてはありえない話じゃないんだけど、もしかしたらこの戦争の黒幕は、アマギの可能性がある}


 では、アマギを倒せば戦争は終ると?


「いいや。 おそらく戦争は人間同士で行う憐れな戦い……意見が違えばすぐに起こるから、多分完全になくすということは難しいことかもしれない……でも、アマギを倒せば、この第一次地球大戦が起こる歴史を、翔琉が元の世界、元の時間軸に戻ることによって防ぐことは出来るかもしれない」


 よし‼ なら、アマギを探しましょう‼

 あなた方なら、アマギを倒せるんですよね?


「多分な‼」

[でもツバサ君。 それには1つ大きなリスクがあることを知っているかい?]


 もしかしてパラレルワールドとタイムパラドックスの影響ですか?


{流石に博学だね。 天野家の家系は}

「その通り、戦争を回避出来たとしても、この世界はパラレルワールドとして処理されてしまうだろう。 だから、戦争自体を起きたという出来事を無かったことにするのは、難しい……」

[でも、地球を元に戻す方法はあるけどね]


 ええ!?

 本当ですか?


「え? それ俺聞いてないよ」

{僕も聞いてないよ}

[うん、知らなくても問題ないよ。 今思いついたんだもん]


 え~~~~~

{「え~~~~~」}

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