Mission6-8
子猫の尻尾を切った代償は大きかった……と、言わざる終えない状況と言えるだろう。
世界最強クラスの戦闘技術を持つ女、ルートとミランダ。
それから、特殊襲撃部隊まで……超殲滅型パーティーといえるこのメンツたちが、子猫の尻尾を切った瞬間、武装して俺の部屋に来たのだ。
「おやおや、ジェット。あんた、自分の飼ってるミアなら甘いと思ったのに……」
「ん??なにをいっているミランダ。俺は誰に対しても心を許した事はないぞ?というか、そういう風に訓練されているからな」
「訓練……ねぇ……」
ミランダは、なにか知っているかのような言い回しで、その言葉を止めた。
なんだと言うのだと、思うがそれよりはまずはどうやって脱出するか、だな。
「ジェット。まさかとは思うけど、私たちから逃げようとしてる?」
流石はルート。
こちらの読みは見透かされてるわけだ。
「世界最強の美女二人相手に、逃げ切れるとか考えてるなら甘いわよ」
「自分で美女っていうなよ。せいぜい、中の……」
「具体的な事を言おうとするな!」
ミランダは、目にも止まらぬ早さで俺に飛び蹴りを喰らわせてきた。
俺は、近くの枕を身代わりにして、攻撃をかわした。
そして出口から駆け抜けようとしたが、ルートに行く手を阻まれてしまう。
通常の兵隊ならまだしも、この二人相手はさすがにきつい。
冷静沈着な指揮官ルートに、肉弾戦最強の女科学者ミランダ。
得物は、このナイフだけだし。
どうしようかな。
「観念しなさいジェット……いいえ、天野ツバサ……」
「へぇ、まあ言ってないってだけだから、知らないわけないなと思ってたけど……知ってるんだ。俺が、天野家の人間だって」
「人間?いいえ、あなたは人間じゃないわ……人間の皮を被った化物よ」
「はぁ?何をいってるんだ?」
「ひとつ聞くけどジェット……あなたご両親の顔は覚えてる?」
「そんなもの、覚えてるに決まって……あれ?」
父親ってどんな顔だっけ。
母親ってどんな声だっけ。
あれ?なんで?
「思い出せないようだね……」
「そりゃそうだよね……」
「……何が言いたいんだ?二人とも」
ふふっと、不気味に彼女たちは笑い、そして真実を口にし始めたのだった。
「天野ツバサ……コードネームジェット。お前の正体は、天野翔琉博士のクローンなんだよ」
「だね。クローン……斬神夜弥の作った偽物じゃなくて、あなたのお祖父様【天野翼】が持っていた天野翔琉の血から生み出した、正真正銘のクローン」
「そして唯一の成功例でもある」
「まあ、だからこそ……あなたの存在は貴重であったけど、でも問題が発生したんだよね」
「そのクローンは、天野翔琉なんだけど、すでに天野翔琉じゃない心が宿っていた」
「それこそが君だよ……天野ツバサ君」
「総帥は、あえてそんな君を孫として扱い、真実を隠した」
「クローン技術なんてのを総帥自らが実践していたなんて知れたら、信頼に関わるからね」
「だから、あとは私たちに託した……」
「だから、あなたを戦士として育て上げた……」
「「そして今……知りすぎて、不要だから、お前は処分するんだ」」
声を揃えた二人はギロリと俺を睨んでいる。
そして、俺は彼女たちによって殺されたのだった。
その瞬間は、呆気なかった。
一瞬で首を切り落とされて死んだのだ。
さようなら、俺の人生……。
さようなら……。




